米連邦下院議長選、15回目の投票で共和党マッカーシー議員を選出
(米国)
ニューヨーク発
2023年01月10日
米国連邦議会下院は1月7日未明、15回目の投票で共和党のケビン・マッカーシー議員(カリフォルニア州)を第118議会の議長に選出した。
下院(定数435、欠員1)では、新しい会期が始まる1月3日から議長を選出する投票が続いていた。議長の選出には、ある候補者が有効投票の過半数を得る必要がある。しかし、共和党議員(222人)のうち保守強硬派の約20人がマッカーシー議員不支持の姿勢を崩さなかったため、1月6日までに14回の投票を経ても、議長を選出できない状態が続いていた(2023年1月6日記事参照)。最終的に、マッカーシー議員が今後の議事運営に関して保守強硬派の要求を受け入れたことで、15回目の投票で共和党議員216人の支持を得て議長に選出された(注)。なお、民主党議員は212人全員が同党下院トップのハキーム・ジェフリーズ議員(ニューヨーク州)に投票した。
マッカーシー議員が受け入れた要求の中で最も影響力があるとみられているのが「下院議員1人のみで議長の不信任決議の手続きを開始できる」としたことだ。これにより、必ず可決が必要な連邦政府の予算や債務上限に関する法案の審議を阻害される恐れがあると懸念する声が共和党議員からも出ている(政治専門誌「ザ・ヒル」1月7日)。
議長選出により、下院では通常の議事進行を開始できるようになった。下院で第2位のスティーブ・スカリーズ多数党院内総務(共和党、ルイジアナ州)は1月8日、1月9日からの週で取り上げる案件を公表した(添付資料参照)。その多くは、民主党と考えを異にする案件となっており、上院では民主党が多数を占めるため、成立する可能性は低いとみてよいだろう。他方、中国との競争に関しては、大きな方向性として両党ともに強硬な姿勢を取ることで一致している。よって、中国との戦略的競争に関する超党派の特別委員会の設立や、中国への戦略石油備蓄の売却・輸出を禁止する法案は大きな障害なく前進すると考えられる。開会早々に異例の事態に陥った第118議会だが、党派間・党派内の対立を超えて目立った成果を生み出せるか、今後の議事運営が注目される。
(注)保守強硬派の6人が賛否を示さない出席(present)票を投じたため、過半数の閾値が下がった。なお、バージニア州4区選出の民主党ドナルド・マキーチン議員が11月中間選挙後に死去したため、1議席が欠員。同選挙区では2月21日に補欠特別選挙が実施される。
(磯部真一)
(米国)
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