EU、対ロシア制裁パッケージ第9弾を採択、既存の制裁対象を拡大

(EU、ロシア、ウクライナ)

ブリュッセル発

2022年12月19日

EU理事会(閣僚理事会)は12月16日、対ロシア制裁パッケージ第9弾を採択したと発表(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)し、同日適用を開始した。これは、12月5日に適用を開始した(2022年12月6日記事参照)、域外国向けのロシア産原油に上限価格を設定する制裁パッケージ第8弾(2022年10月7日記事参照)に続くものだ。第9弾には、目玉となるような新しい措置は含まれていないものの、以下のとおり、既に実施されている制裁の対象を拡大させる内容となった。

  • 輸出制限・禁止の対象拡大:ロシア軍の能力や技術力強化につながる二重用途物品や高度技術などが輸出制限の対象品目に新たに加えられた。また、ロシアの軍産複合体と関連する168の団体も新たに輸出制限の対象に指定された。これにより、合計で410団体が輸出制限の指定を受けたことになる。さらに、輸出禁止の対象品目も拡大された。これには、ドローンのエンジン、玩具・ホビー用のドローン、ノートパソコン、コンピュータ部品、プリント基板、電波航法システム、無線遠隔制御装置、航空機エンジンとその部品、カメラとレンズなどが含まれる。
  • 取引禁止対象の銀行の拡大:ロシア地域開発銀行との全面取引禁止、モスクワ信用銀行と極東銀行(Far Eastern Bank)の資産凍結を新たに指定。
  • サービス提供禁止の対象拡大:EUの企業が広告、市場調査、世論調査、製品テスト、技術検査といったサービスをロシアに提供することを新たに禁止。
  • エネルギー分野への投資禁止の対象拡大:特定の重要な原材料に関連する採掘を除く、ロシアの鉱業への新規投資を禁止。

これらの制裁に加えて、特定の個人・団体に対するEU域内の資産凍結などの対象も拡大。ロシア軍、軍事産業、政府などの関係者を中心に約200の個人や団体が新たに対象に追加された。

(吉沼啓介)

(EU、ロシア、ウクライナ)

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