EU理事会、域外国向けのロシア産原油の上限価格で合意、適用を開始
(EU、ロシア)
ブリュッセル発
2022年12月06日
EU理事会(閣僚理事会)は12月2日、ロシアからEU域外国に海上輸送される原油の上限価格を1バレル当たり60ドルとすることで合意した(プレスリリース)。G7諸国とEU、オーストラリアは同日、この上限価格を支持することで一致。これを受けて、EU理事会で既に採択済みの制裁措置(2022年10月7月記事参照)に基づき、EUはロシア産原油に対する上限価格の適用を12月5日に開始した。
これにより、EU域内の事業者は、今回設定された上限を超える価格で売買されたロシア産原油に関して、域外国に海上輸送することのほか、技術支援、仲介、資金供給や保険といった関連サービスを提供することが禁止された。石油製品に関しては、別途、上限価格を設定した上で、同様の措置を2023年2月5日から導入する予定だ。なお、今回の措置とは別に、海上輸送によるロシア産原油のEU域内への輸入禁止措置(2022年6月6日記事参照)も12月5日から適用が開始された(石油製品に関しては、2023年2月5日の適用開始を予定)。
ロシア産石油に対する上限価格の導入は、ロシア産石油のEU域外国への供給を止めることなく、ロシアによる戦争継続を困難にするため石油収入を減らすことを目的に、2022年9月にG7の枠組みにおいて合意。10月にはEUでも制裁パッケージ第8弾の一部として既に合意されていた。一方で、上限価格の水準に関しては、EU加盟国間で意見が対立していたが、12月5日の適用開始が迫る中、価格設定に合意した格好だ。
今回の措置には移行期間が設けられており、12月5日までに船舶に積み込みをし、2023年1月19日までに最終目的地において荷下ろしされる分に関しては、ロシア産原油の売買価格が1バレル当たり60ドルを超える場合であっても、EU域内の事業者は海上輸送や関連サービスを提供することが認められる。また、サハリン2から日本へ輸出される原油の海上輸送や関連サービスの提供は、2023年6月5日まで、今回の措置の適用から除外される。
(吉沼啓介)
(EU、ロシア)
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