カナダ進出企業の約半数が今後サプライチェーンを見直す予定、ジェトロ海外進出日系企業実態調査(北米編)

(カナダ、日本)

米州課

2022年12月26日

ジェトロは1220日、カナダに進出する日系企業を対象とした現地での活動実態に関するアンケート調査(注1「海外進出日系企業実態調査(北米編)」の調査結果を公表した。

サプライチェーンの混乱が日系企業の2022年における営業利益見込みに影響を及ぼした要因として挙げられる中(2022年12月20日記事参照)、新型コロナ禍から2022年後半の調査時点までにサプライチェーン(販売・調達・生産)を見直した企業の割合は5割近く(48.1%)だった。今後の見直し予定がある企業の割合は約半数(50.4%)にのぼった。業種別にみると、調査時点まで、および今後のいずれについても、自動車など(調査時点まで:100%、今後:83.3%)やプラスチック製品(ともに80.0%)、運輸業(ともに75.0%)で、サプライチェーンを見直すと回答した割合が高かった。

販売の主な見直し内容は、「販売価格の引き上げ」(調査時点まで:63.3%、今後:43.6%)が挙がった。また、今後の販売を見直す理由には、全体では「物流費の高騰」(52.6%)が筆頭要因となった。産業別にみると、製造業では、全体と同様「物流費の高騰」(53.3%)が最多で、「原材料費の高騰」(46.7%)が続いた。他方、非製造業では「新型コロナ感染の収束」(60.9%)が「物流費の高騰」(52.2%)を上回り最多となった。販売先の変更内容は、カナダ国内での販売先の変更が11件と、全体(20件)の55.0%を占めた。

調達に関する見直し内容は、「調達先の見直し」(調査時点まで:43.3%、今後:36.4%)、「在庫量の見直し」(38.3%)などが挙がった。今後の調達見直し理由には、販売の見直し理由と同様に「物流費の高騰」(60.0%)が最も多く挙げられた。製造業に限ってみると、「物流費の高騰」を見直し理由に挙げた割合は7割近く(68.8%)あったが、筆頭要因は「原材料費の高騰」(75.0%)だった。各種コストの増大が、製造業におけるサプライチェーンの見直しに大きな影響を及ぼしていることが読み取れる。非製造業では、「物流の混乱に伴う今後のサプライチェーン途絶リスクへの対応」(63.2%)や「販売・調達先の稼働停止・閉鎖に伴う今後のサプライチェーン途絶リスクへの対応」(57.9%)が「物流費の高騰」(52.2%)を上回り、コスト増大よりも混乱や稼働停止といった不確実性などが今後の見直しに大きな影響を及ぼしていることが分かる。

(注1)調査実施期間は20229830日(日本時間)。調査対象は在カナダ日系企業(製造業・非製造業)のうち、直接出資および間接出資を含めて、日本の親会社の出資比率が10%以上の企業および日本企業の支店。有効回答数は138社/184社(有効回答率75.0%)。調査は原則年1回実施しており、カナダでは1989年以降これが33回目。

(注2)他の地域を含む調査結果は、2022年度海外進出日系企業実態調査(全世界編)を参照。

(滝本慎一郎)

(カナダ、日本)

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