カナダ進出企業、黒字見込む企業は7割強もパンデミック前の水準には及ばず、ジェトロ海外進出日系企業実態調査(北米編)
(カナダ、日本)
米州課
2022年12月20日
ジェトロは12月20日、カナダに進出する日系企業を対象とした現地での活動実態に関するアンケート調査(注1)「2022年度海外進出日系企業実態調査(北米編)」の調査結果を公表した。
2022年に営業利益の黒字を見込む在カナダ日系企業の割合は71.0%と、前年(67.5%)から3.5ポイント上昇した。新型コロナ禍前(2019年)の水準(77.1%)には及ばなかったが、70%台まで回復した。産業別でみると、製造業では70.2%、非製造業では71.6%と、ともに7割を超える結果となった。製造業では、食料品と自動車など(ともに83.3%)が最大で、プラスチック製品(80.0%)が続き、非製造業では販売会社で84.2%と最大だった。一方、鉄・非鉄・金属や鉱業・エネルギーで赤字見込みが4割となった。営業利益見込みに影響した要因としては、新型コロナ禍からの需要回復が挙がる一方、サプライチェーン混乱による不利益を受ける業種もあった。また、リモートワークの普及は旅行・娯楽業の売り上げを圧迫する結果となった。
営業利益見込みが前年比で「改善」を見込む企業の割合は37.5%と、前年(39.4%)から1.9ポイント減少した一方、「悪化」を見込む企業の割合(19.1%)についても前年(23.6%)から4.5ポイント減少した。その結果、景況感を示すDI値(注2)は18.4となり、前年(15.8)から2.6ポイント上昇した。営業利益見込みが改善する主因は「新型コロナに起因する反動増」(28.0%)が、悪化する主因では「原材料・部品調達コストの上昇」(19.2%)が筆頭要因となった。一方で、米国では悪化の主因の上位に含まれた「物流コストの上昇」や「人件費の上昇」は上位に挙がらなかった。コスト上昇の範囲が米国と比べて限定的だったことは、DIが低下しなかった要因の1つとして考えられる。
(注1)調査実施期間は2022年9月8~30日(日本時間)。調査対象は在カナダ日系企業(製造業・非製造業)のうち、直接出資および間接出資を含めて、日本の親会社の出資比率が10%以上の企業および日本企業の支店。有効回答数は138社/184社(有効回答率75.0%)。調査は原則年1回実施しており、カナダでは1989年以降これが33回目。
(注2)Diffusion Indexの略で、営業利益が「改善」する企業の割合(%)から「悪化」する割合を差し引いた数値。
(滝本慎一郎)
(カナダ、日本)
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