インドネシア、2023年6月からボーキサイト鉱石の輸出を禁止

(インドネシア)

ジャカルタ発

2022年12月23日

インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は12月21日、未加工のボーキサイト鉱石のインドネシアからの輸出を、予定どおり2023年6月から禁止すると発表した。ボーキサイト鉱石の輸出禁止は2020年の鉱業法(法律2020年第3号)で規定されており、同大統領はインドネシア国内での精錬・加工産業の発展につなげることが目的だとした。ボーキサイトは主にアルミニウムの主要な原料として使用され、中国が主要な貿易相手国となる。

同大統領は記者会見で、2020年1月に未加工の状態での輸出を禁止したニッケルを例に挙げ、禁輸後に主に中国からの投資を誘致し製錬所を建設した後、インドネシア国内のニッケル処理能力が向上したとして、ボーキサイトについても、同様の成功を再現したいとした(「Kontan」12月21日)。

会見に同席したアイルランガ・ハルタルト経済調整相は、現在国内に4カ所の処理施設があり、処理能力は430万トンと説明した。また、処理能力を500万トン上乗せすべく、処理施設を建設中だとした。また同相は、インドネシアのボーキサイト埋蔵量は約32億トンあり、今後100年は賄えるほど十分だとした(「Bisnis」12月22日)。

続く資源の禁輸措置、他鉱石の措置開始時期については明言なし

インドネシアは、2022年上半期には石炭とパーム油の輸出を一時的に禁止するなど、国内での消費、産業発展に注力する姿勢を鮮明にしている(2022年1月7日記事2022年4月28日記事参照)。

先んじて輸出を禁止しているニッケル鉱石を巡っては、EUとの係争に発展しており、WTOの紛争解決機関(DBS)が、禁輸措置はWTOの規定違反との判断を示す報告書をまとめた。インドネシア政府はこれを不服とし、12月12日に、報告書の見直しを求め、上訴している(「Kompas」紙12月15日)。

今回のボーキサイト鉱石の輸出禁止について、アイルランガ経済調整相は「インドネシアに対して法的措置が取られる可能性もある」としながらも、「輸出禁止を撤回することはない」と述べた。なお、鉱業法では、銅など他の未加工鉱物の輸出停止も規定されているが、ジョコ大統領は、他の鉱石の輸出禁止時期については明言していない(「Kontan」12月21日)。

(尾崎航)

(インドネシア)

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