環境ビジネス、地域の信頼確保がカギに
(ラオス、インドネシア、東南アジア)
海外市場開拓課
2022年12月12日
ジェトロは11月24日、大気汚染、土壌浄化、廃棄物処理、リサイクルなどグリーンビジネス分野でアジア地域(北東アジア、東南アジア、南西アジア)への環境関連製品の輸出を⽬指す⽇本企業向けに、アジア地域の環境ビジネスをテーマにウェビナーを開催した(2022年12月12日記事参照)。同セミナーから、アジアにおける日本企業の環境関連でのビジネス展開事例を紹介する。
社会課題解決型案件から事業化を図る
加山興業(愛知県)の代表取締役である加山順一郎氏は、ラオスにおける廃棄物処理事業を紹介し、「国際協力機構(JICA)の案件化調査と実証事業を通じ、現地で病院から出る医療廃棄物が適切に処理されず、野積みされている状況を改善する目的から事業が始まった」と述べた。同社は、医療廃棄物の適切な分別・管理から収集・運搬、最終処分までについての啓発セミナーを現地で開催。病院内のみならず、収集・運搬の過程においても廃棄物処理やリサイクルに対する重要性の認知と理解を得ることができたと説明した。また、今後の課題として、(1)リサイクルへの現地の理解を一層促すこと、(2)法制度整備では官民合同会議などでの政策提言を図ること、(3)今後の事業展開を期して関係企業と連携を深めること、などを挙げて、これらに意欲的に取り組みたいとしている。さらに、同社はこうした社会課題解決が可能なビジネスモデルを他国でも展開できるか模索している。
廃棄物処理では最後まで一貫して責任をもつ姿勢が重要
中国や東南アジアに拠点を有するDOWAエコシステム(東京)は、創業当初より鉱山事業を手掛けていたが、1977年から環境分野での事業を開始し、2009年からは東南アジアで海外展開を始めた。同社海外事業推進部の吉村雅仁部長によると、当初の現地での課題は医療系廃棄物の処理、プラスチック廃棄物による海洋汚染、越境するごみ処理をめぐるトラブル解決などだった。同社は、施設・技術の移管のみならず、ごみの収集から最終処分まで一貫した処理システムを提供しており、特に各種産業が集中するインドネシアのジャワ島を中心に多くの拠点を有する。西ジャワ州ボゴールには、同国で唯一の有害廃棄物最終処分処理場を開設している。同最終処分処理場の最終過程では、米国の環境保護庁(EPA)の認可を得ている。「回収から廃棄物輸送、最終処分の最後まで責任をもつという姿勢が地域社会の信頼を得られる」と吉村氏は言及した。
最後に、環境ビジネスの海外展開のポイントとして、吉村氏は「ハード・ソフト両面での受け皿を準備した上で、その国の政策を理解し、時に応じて政策提言を行い、またこうした活動を通じて行政機関との関係を維持すること。現地ニーズを捉え柔軟に提供するサービスの質を改善していくこと。最後に、コンプライアンスを順守し、地域社会からの信頼を得ることが重要」と述べた。
(桑原繁)
(ラオス、インドネシア、東南アジア)
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