環境規制強化で高まるビジネスチャンス(中国・インド)
(中国、インド)
海外市場開拓課
2022年12月12日
ジェトロでは11月24日に、大気汚染、土壌浄化、廃棄物処理、リサイクルなどグリーンビジネス分野でアジア地域(北東アジア、東南アジア、南西アジア)への環境関連製品の輸出を⽬指す⽇本企業向けに、アジア地域の環境規制や技術ニーズに関するウェビナーを開催した。同ウェビナーでの講演内容を紹介する。
環境規制強化で広がる日中間の企業連携
中国の環境政策の最新動向に関し、清華大学環境学院管理・政策教研所の常杪所長は「第14次5カ年規格(2021~2025年)で生態環境分野は新たな発展を迎え、中央・地方レベルで環境関連の政策や規制が数多く公布されている」と強調。加えて、幅広い産業分野に関わる脱炭素関連の政策が打ち出されたことで、民間企業も対策を表明するなど企業レベルでの取り組みが活発化している状況に言及した。さらに「日本企業は、水処理やVOCs(揮発性有機化合物、注)対策などで実績を有している」とした上で、今後、「日本企業は環境モニタリング分野でも参入の余地があるだろう」と環境管理情報面での将来的な日中ビジネス交流の拡大に期待を示した。
バイオマスや脱炭素で需要が高まるインド市場
ジェトロ・ニューデリー事務所の大瀧拓馬所員は、第27回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP27)でインド政府が、環境に対する包括的かつ長期的な取り組みを発表したことを紹介。関連して、2022年11月には「国家バイオエネルギー計画」が打ち出されたことにも言及した。
また、地方の農村振興とバイオエネルギー増産を図る動きとして、牛ふんや稲わらをバイオマスに変換する「W to E(Waste To Energy)」の動きが加速化していることに触れ、「ごみを活用したビジネスで適切な現地パートナーを見つけ、日本企業が参入するチャンスがあるだろう」と述べた。
さらに、「アダニやタタなどの財閥企業は、脱炭素分野での取り組みを推進しているが、この分野での日本企業の存在感は依然として希薄」と指摘した。
その上で今後、日本企業の参入が期待される分野として「ごみ処理やバイオマス、大気汚染など社会課題解決を主としたものが有望」と述べた。さらに、「インドでは優秀な若い人材が、スタートアップとして起業するケースが数多くみられ、協業を持ちかけるアプローチも検討に値する」とコメントした。
(注)ベンゼン、フロンなどを指し、溶剤や燃料として使用されているが、環境中へ放出されると、公害などの健康被害を引き起こす可能性がある。
(桑原繁)
(中国、インド)
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