中国居住者向けの国外旅行業務などを外資に開放
(中国)
北京発
2022年10月13日
中国国務院は10月8日、「天津、上海、海南、重慶での関連行政法規・規定の暫定的調整実施の同意に関する回答」(国函〔2022〕104号)を発表した(文書は9月21日付)。サービス業の外資系企業に対する参入規制を4省市に限って試験的に緩和する。実施期限は2024年4月8日まで。
国務院は2021年に「天津、上海、海南、重慶でのサービス業開放拡大総合試験地点の展開同意に関する回答」(国函〔2021〕37号)で、4省市で3年間を期限として試験的にサービス業を開放することに同意している。
上海市と重慶市では、外資系旅行会社が中国居住者を対象とする国外旅行業務(注1)に参入することを認める。現在、外資系旅行会社の参入は「旅行社条例」で禁止している。
商務部研究院国際市場研究所の白明・副所長は外資企業の国外旅行での優位性は中国企業も参考とすべきところが多いとし「国内の旅行業界の開放拡大と、世界に踏み出すための助けとなる」と評価している(「澎湃新聞」、10月9日)。
春秋旅遊の周衛紅・副総経理は「外資系旅行会社の国外旅行業務は許可制で、参入のハードルが全くなくなるわけではない」としながらも、旅行市場にさらに豊富な商品が提供される可能性がある点を評価している(「上観新聞」、10月9日)。
天津市と海南省、重慶市では、外資系企業の資金援助によって非営利性養老機関(注2)を運営する民間の非企業組織の登録を認める。現行の「民間非企業組織登記管理暫定条例」では、民間の非企業組織の定義として、資金に関する部分は「非国有資産を利用」とのみ記載している。非営利性養老機関は営利性のものと比べ、税制や土地使用などの面で優遇がある。
中国は外資系企業の参入について、原則としてネガティブリスト方式を採用している(2022年1月5日記事、4月7日記事参照)。しかし、ネガティブリスト以外の他の関連法令によって参入を事実上制限している場合があり、外資系企業にとって障壁となっている。中国に進出する日系企業などで構成する中国日本商会が7月29日に発刊した「中国経済と日本企業2022年白書」(2022年8月1日記事参照)でも改善要望をしている。
(注1)香港、マカオを含む。台湾は除く。
(注2)ベッド数10床以上の全日制で宿泊・介護などのサービスを提供する高齢者用施設を指す。
(河野円洋)
(中国)
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