2022年版「市場参入ネガティブリスト」を公布、違反案件は公表へ
(中国)
北京発
2022年04月07日
中国の国家発展改革委員会と商務部は3月25日、外資を含む全ての企業などに適用する「市場参入ネガティブリスト(2022年版)」(発改体改規〔2022〕397号)を公布、即日施行した(文書は3月12日付)。2020年版は廃止された。国家発展改革委員会は、2021年10月8日に同リストの「2021年版」として意見募集稿を発表していた(2021年11月1日記事参照)が、「2021年版」は公布されず、今回「2022年版」としての公布となった。
リスト中の参入禁止項目と参入許可項目の数は「2021年版」の意見募集稿から変更がなく、2020年版と比較すると、禁止項目に「違法なニュースメディア関連業務の禁止」が追加されたほか、参入許可項目が7項目削減された。「2022年版」の参入禁止項目数は6項目、参入許可項目数は111項目だった。
また、リストには添付資料として、市場参入に関連して、ネガティブリスト以外の法律などに基づく禁止事項が掲載されている。2022年版と「2021年版」の意見募集稿とを比較すると「鉄鋼、電解アルミニウム、セメント、板ガラスの生産能力の新設・増設」が削除され、計156項目となった。
そのほか、同リストの通知文では、地方政府や関係部門による独自のネガティブリスト作成を禁止することが明示された。また、ネガティブリストに違反する事例を収集・検査し、四半期ごとに代表的な案件について通報を行う。加えて、関連の状況について、全国都市信用状況動態モニタリングシステムに組み入れ、国家発展改革委員会および「信用中国」(注)のウェブサイトで公表するとともに、悪質な案件については「面談」を行うとしている。なお、国家発展改革委員会は2021年11月19日に「市場参入ネガティブリスト違反案件収集と通達制度に関する通知」(発改体改〔2021〕1670号)を発表。市場参入ネガティブリストに違反し、通達の対象となる行為を例示している。
そのほか、通知文では、独占禁止に関する監督・管理を強化し、資本の「無秩序な拡張」「野蛮な成長」「規定に違反する大げさな宣伝」を防止し、経済・社会の発展と秩序へのショックを防止するとしている。
商務部国際貿易経済合作研究院区域経済協力センターの張建平主任は、新しいネガティブリストの着実な実施のためには「各地方政府が(ネガティブリスト以外の)行政審査を行わないだけでなく、ネガティブリストに基づき、関連行政法規の整理が必要だ」と、地方政府サイドでの対応が必要、との認識を示している(「中国商務新聞網」3月29日)。
(注)中国政府が運営する、法人、個人などの信用情報の公開や、信用制度に関する情報発信を行うウェブサイト。企業の行政許可・処罰の記録や、裁判所の判決に従わないなどの信用失墜行為を行った個人の検索などが可能。
(河野円洋)
(中国)
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