外資にも適用の「市場参入ネガティブリスト」の改定案発表
(中国)
北京発
2021年11月01日
中国の国家発展改革委員会は10月8日、外資を含む全ての企業などに適用する「市場参入ネガティブリスト」の改定版となる2021年版の意見募集稿を発表した(注1)。
市場参入ネガティブリストは2018年以降、毎年改定しており、中国の産業政策の方向性を示すものとされている。リストは参入禁止項目と参入許可項目に分かれており、参入禁止項目に企業などは参入することができない。また、同項目について、行政機関は審査認可を行わず、関連事務も処理しない。参入許可項目は、企業などの申請に対して行政機関が法規に基づいて参入の可否を決定するか、企業が政府の規定する条件や方式に基づいて参入するものとしており、リストの同項目の欄には、参入に当たって求められる関連資格要求や手続き、技術標準、許可要求などを記載している。リストに記載のない業界や分野、業務については、法に基づいて平等に参入できるとしている。なお、改定案では、禁止項目が現行リストより1増の6項目、参入許可項目が7減の111項目の計117項目となり、現行版と比べて6項目減少したと紹介している(注2)。
禁止項目としては「違法なニュースメディア関連業務の禁止」を追加した。具体的には、非公有資本によるニュースの取材・収集・編集・放送・配信業務、ニュース機構の設立と運営(注3)、ニュース機構の紙面、周波数、チャンネル、番組、公式アカウントなどに係る事業の運営、政治、経済、軍事、外交、重大な社会・文化・テクノロジー・衛生・教育・スポーツ、その他の政治関連の、世論を喚起する、また価値志向性を有するなどの関連活動、事件のライブ配信事業、国外の主体が発表するニュースの導入、ニュース・世論分野のフォーラム、表彰選考活動を禁止するとしている(注4)。
今回のリスト改定の企業に対する影響について、北京市環球法律事務所は「外資を含む非公有資本への禁止事項が記載されているが、ニュース分野には参画しない、国外メディアのニュースは転載しない、ライブ配信には制限を設けるといった非公有資本への規制内容を順守していれば、通常の事業活動を行うのは問題がないと考える。ただし、オウンドメディアや各種サイトに掲載される内容への規制が強まる可能性も捨てきれないため、関連企業は今後も、2021年版リスト(案)の動向や、ニュースメディアなどを規制する詳細規定の制定に注意を払うことが望ましい」との見解を示している。
(注1)外資系企業に適用する全国的なリストとしては、ほかに「外商投資ネガティブリスト」(本稿執筆時点で有効なのは2020年版)(285KB)が存在する(2020年7月8日記事参照)。外商投資ネガティブリストは近年、毎年改定しており、同リスト上の禁止・制限類は徐々に削減されている。
(注2)項目数の減少には項目の統合なども含まれる。
(注3)リストではニュース機構の例として、通信社、新聞社・定期刊行物の出版社、ラジオ・テレビ放送機構、ラジオ・テレビ局、インターネットニュース情報取材・編集・公開サービス機構などを示している。
(注4)現行の2020年版市場参入ネガティブリストには、「違法なインターネット関連経営活動の禁止」という禁止項目の1つとして、「非公有資本はインターネットニュース情報の取材・編集事業に参画してはならない」と規定している。
(小宮昇平)
(中国)
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