米シェブロン・ニュー・エナジーズ、船舶向け燃料電池開発企業を支援
(米国、フランス、日本)
ヒューストン発
2022年10月03日
米国石油大手シェブロンの子会社シェブロン・ニュー・エナジーズ(本社:カリフォルニア州サンラモン)は9月28日、船舶向けの燃料電池を開発しているゼロ・エミッション・インダストリーズ(本社:カリフォルニア州アラメダ、以下ZEI)に資金援助を行ったと発表した。
今回の資金援助は、ZEIの水素燃料電池発電システム開発に対するもので、シェブロン・ニュー・エナジーズが2028年までに100億ドルを低炭素エネルギー事業に投資するコミットメントの一部であるとしている(2021年9月16日記事参照)。発表によると、ZEIは、サンフランシスコ・ベイエリアで84人乗りの旅客フェリー用の水素燃料電池を開発し、海運市場に参入しようとしており、商業的な魅力を持つ小型の船をターゲットにすることで、水素燃料電池を動力源とする船舶が普及すると考えているという。
ZEIの最高経営責任者(CEO)であるジョー・プラット氏は、水素燃料電池を小型船舶の動力源とすることは「重量、大きさ、電力などの要件があり、非常に難しい挑戦だ」と述べた。ZEIは、今回の資金援助を事業の拡大と250キロワット(kW)級燃料電池の開発に役立てたい考えだ。
シェブロン・ニュー・エナジーズの水素担当ゼネラルマネージャーであるマイケル・ホーバン氏は「水素は、電化が不可能な分野での脱炭素化を支援する独特な位置づけにある」「海運産業のようなエネルギー消費が激しい分野はその好事例で、大量のエネルギーを船上で消費し、二酸化炭素(CO2)を大量に排出している。現在、市場には非常に限られたソリューションしかない」と述べた。
シェブロンの脱炭素化に向けた最近の取り組みとして、2022年9月に、米国エネルギー省の国立再生可能エネルギー研究所との技術インキュベータの設立(2022年9月12日記事参照)、フランスのエア・リキードなどとのCO2回収・利用・貯留(CCUS)コンソーシアムの結成(2022年9月22日記事参照)、三井石油開発との地熱開発技術に関する提携(2022年9月29日記事参照)などがある。
(沖本憲司)
(米国、フランス、日本)
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