米連邦政府の公的債務残高が31兆ドル突破、今後の利払い負担増加に懸念
(米国)
ニューヨーク発
2022年10月07日
米国財務省が10月3日に公表したデータによると、連邦政府の公的債務残高が31兆ドルを超えたことが明らかになった。30兆ドルに達したのは2022年2月で(2022年2月3日記事参照)、わずか8カ月で1兆ドル増加した。新型コロナウイルスの感染状況が落ち着くにつれて、徐々に増加ペースは緩やかになっているが、依然として新型コロナ感染拡大前に比べると増加基調が顕著だ。
財務省データによると、約31兆ドルのうち、国債などの連邦政府自身の債務が約24兆3,000億ドル、社会保障基金などそのほかの公的機関の債務が約6兆8,000億ドルとなっている。また、外国に対する債務は約7兆5,000億ドルあり(2022年7月時点)、そのうち、日本に対する債務が約1兆2,000億ドルと最も多く、中国の約9,700億ドルが続いているが、2021年11月時点と比べれば両国とも約1,000億ドル減少している。民間シンクタンクのピーター・G・ピーターソン財団(Peter G. Peterson Foundation)の2022年10月4日の発表によると、約31兆ドルの債務は、中国、日本、ドイツ、英国の4カ国の経済規模の合計に等しく、米国1世帯当たり23万6,000ドル、1人当たり9万3,000ドルの債務を負っている計算になるという。
議会予算局による2022年5月時点の中長期の財政予測では(2022年5月30日記事参照)、連邦政府の債務残高が31兆ドルを超えるのは2023年に入ってからと見込まれていたが、この予測よりもはるかに速いペースで債務増加が進んでいる。ただし、公的債務残高の上限は現在31兆4,000億ドルで、2023年初めごろまで対応できると見込まれている(2021年12月16日記事参照)。
新型コロナ禍の中で、連邦準備制度理事会(FRB)による超低金利政策により利払い負担が抑えられていたことに加え、長く続く高インフレによって既存債務の実質的負担が軽減する効果もあることから、債務負担についての議論はこれまで目立ってこなかった。しかし現在では、FRBは急激に金融引き締めを進めていることから、中長期的には今後の利払い負担の増加が懸念され、これに伴う財政健全化の議論が米国で活発になっていくかが注目される。
(宮野慶太)
(米国)
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