8月のカナダ消費者物価指数、前年同月比7.0%上昇
(カナダ)
トロント発
2022年09月21日
カナダ統計局が9月20日に発表した8月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で7.0%上昇した。7月の上昇率(7.6%、2022年8月17日記事参照)を0.6ポイント下回り、2カ月連続で伸びが減速した(添付資料表参照)。前月比では0.3%減となり、2020年4月の新型コロナ禍以降で最大の下落幅となった。
統計局によると、8月の減速の要因は、ガソリン価格の伸びの鈍化だ。前年同月比は、7月の35.6%増に比べて8月は22.1%増にとどまり、前月比でみると7月の9.2%減から8月は9.6%減と2020年4月以降で最大の月間下落幅となった。主因は産油国による世界的な生産量増加で、カナダ天然資源省のデータによると、精製マージンも7月の高水準から低下しているという。
ただ、食料品価格は前年同月比で9.8%増となり、このうち家庭用食品は10.8%増と1981年8月以来の上げ幅になった。異常気象や投入原価の上昇、ロシアのウクライナ侵攻、サプライチェーンの混乱など、食料品の供給は複数の要因から引き続き影響を受けている。
統計局では、8月のその他の特筆すべき点として、レジャー・教育・読書分野(前年同月比5.7%増)のうち、旅行者向け宿泊施設(33.3%増)が鈍化したものの高止まりしていることや、財(8.5%増)のうち、耐久財(6.0%増)が前月(7.0%増)に比べ鈍化していること、さらに、住居関連(6.6%増)についても伸びの鈍化が続いていることなどを挙げた。
発表を受けて、モントリオール銀行(BMO)のマネジング・ディレクター、ベンジャミン・レイツ氏は「インフレ抑制への道は長く険しいもので、これはその方向への一歩と言える。カナダ中央銀行の次回の政策決定(10月26日)までにはまだ多くのデータが必要だが、今日の数字は、今のところ、市場のさらなる引き締めを限定的とするものになるだろう」とコメントした(BMOエコノファクツ9月20日)。
(飯田洋子)
(カナダ)
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