7月のカナダ消費者物価指数、前年同月比7.6%上昇

(カナダ)

トロント発

2022年08月17日

カナダ統計局が816日に発表した7月の消費者物価指数(CPI)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは前年同月比で7.6%上昇したが、6月の上昇率(8.1%、2022年7月21日記事参照0.5ポイント下回った。

統計局は、7月の減速はガソリン価格の前年同期比の伸びが鈍化したことによるとしている。ただし、ガソリン以外の物価は、6月の前年同月比6.5%増に続いて、7月は同6.6%増となり、物価上昇圧力は引き続き広範に及んでいるとした。

ガソリン価格は6月に前年同月比54.6%上昇を記録後、7月は同35.6%増で、前月比では9.2%下落し、20204月以来の下落率となった。世界経済の減速懸念に加え、中国での新型コロナウイルス流行による公衆衛生上の制限強化や、米国でのガソリン需要の鈍化などにより、世界的に原油需要が減少し、ガソリン価格は下落圧力が強まった。

一方、食品購入価格は7月に前年同月比で9.9%増となり、6月(同9.4%増)よりも上昇した。加えて、カナダ全土で新型コロナウイルスの公衆衛生規制が緩和されてから初めての夏、旅行や対面での集会に伴う各種サービスの価格も繁忙期を迎え、航空運賃(6月:前年同月比25.3%増、7月:同57.7%増)ツアー費用(6月:11.9%減、7月:9.4%増)が上昇した

住宅関連サービスの費用は金利上昇に連動して推移した。住宅ローン金利費用(6月:前年同月比0.6%減、7月:同1.7%増)は20209月以来初めて上昇に転じた。さらに、住宅ローン金利の上昇に伴って賃貸需要増も想定される中、家賃(6月:前年同月比4.3%増、7月:4.9%増)も上昇した。一方、その他持ち家費用(6月:前年同月比12.2%増、7月:同9.7%増)や持ち家修繕費用(6月:10.0%増、7月: 9.1%増)は、カナダの住宅市場の現状を反映して伸びが鈍化した。

発表を受けて、モントリオール銀行(BMO)のチーフエコノミスト、ダグラス・ポーター氏は「原油価格が再び暴騰しない限り、峠は越えたかもしれないが、インフレ率は、2023年に本格的に低下する前に、2022年後半は8%近くで推移する可能性がある。(7月の)インフレ率はカナダ中央銀行の最新予想〔第3四半期(79月)平均8%〕を若干下回っているものの、(中銀は)9月上旬の次回会合で最低でも0.5ポイントの利上げを行うと予想している」と述べた(BMOエコノファクツ816日)。

(飯田洋子)

(カナダ)

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