政府が「エネルギー価格保証」発表、家計負担の軽減へ

(英国)

ロンドン発

2022年09月09日

英国政府は9月8日、高騰するエネルギー価格の負担軽減に向け、「エネルギー価格保証(Energy Price Guarantee)」と称する家計支援措置を10月1日から実施することを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。6日に首相に就任したエリザベス・トラス氏は、優先事項としてエネルギー価格の高騰への対応や将来のエネルギー供給の確保を挙げていた(2022年9月6日記事2022年9月7日記事参照)。

「エネルギー価格保証」により、標準的な家庭のガス・電気使用量の場合、10月以降2年間に渡り、支払い額が年間2,500ポンド(約41万2,500円、1ポンド=約165円)に制限される。8月26日に10月からのエネルギー価格上限が3,549ポンドに引き上げられることが発表された(2022年8月29日記事参照)が、今回の措置によってその上限が実質約1,000ポンド引き下げられる。この1,000ポンドの削減額には、ガス・電気供給事業者経由で各世帯が負担してきた環境対策関連の賦課金の150ポンド相当の免除が含まれることになる。政府は生活費上昇に対する家計支援策として、10月から2023年3月までの光熱費を400ポンド割り引くことを既に決定していた(2022年5月30日記事参照)。これに今回の措置が加わり、10月からの実質的なエネルギー価格上限(2,500ポンドから400ポンドを差し引いた2,100ポンド)は現行水準(1,971ポンド)まで近づくとした。

企業については、エネルギー価格上限の対象外だが、政府は今回、企業に対しても消費者と同等の支援を提供すると発表。ただし、期間は6カ月間としている。企業向け支援の詳細については近日中に発表する予定だ。

エネルギー供給安定化に向けても対策実施

政府は併せて、エネルギー請求価格を引き下げ、供給の安定性を高めるために「エネルギー供給タスクフォース」を設立したと発表。また、エネルギー市場や金融市場、経済の安定化による企業と消費者の最終的なコスト削減に向け、イングランド銀行(中央銀行)と共同で「エネルギー市場融資スキーム」を実施予定であることも明らかにした。

さらに、国内産のエネルギー供給を加速し、レジリエンスを高め、2040年までに英国をエネルギー輸出国にするため、エネルギー源開発やエネルギー市場改革などの6つの具体的な計画も発表した(添付資料表参照)。

(菅野真)

(英国)

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