トラス氏が首相に就任、組閣で主要閣僚人事を刷新
(英国)
ロンドン発
2022年09月07日
英国で9月5日に保守党の党首に選出されたエリザベス・トラス前外務・英連邦・開発相(2022年9月6日記事参照)が6日、エリザベス女王の任命を受け、英国首相に就任した。
トラス首相は、就任後に官邸前で首相として初めて演説した。今が英国の成長を妨げる課題に取り組むべき時として、即座に行動を起こすとし、道路や住宅の建設、ブロードバンドなどのインフラのより迅速な整備に触れたほか、国内各地での投資や雇用創出が必要だとした。外交面では同盟国と団結し、世界の自由と民主主義を支持するとした。
さらにトラス首相は、自身の優先事項として以下の3つを挙げた。
- 減税や制度改革を通じた経済成長
- エネルギー価格の高騰への対応や将来のエネルギー供給の確保
- 国営医療サービス(NHS)の安定化
トラス首相は、ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領と電話会談し、同氏への支援をあらためて表明、ウクライナでの首脳会談も受け入れるとした。また、米国のジョー・バイデン大統領とも電話会談し、自由と民主主義の擁護と進展にとって両国の連携が重要という点で合意した。
トラス首相は同日、組閣にも着手(英国政府プレスリリース、添付資料表参照)。主要ポストである財務相にはクワシ・クワルテング前ビジネス・エネルギー・産業戦略相が、外務・英連邦・開発相にはジェームズ・クレバリー前教育相が、内務相にはスエラ・ブレイバマン前法務長官が就任した。エネルギー危機への対応で主要な役割を担うビジネス・エネルギー・産業戦略相には、ジェイコブ・リース・モグ前内閣府国務相が就任した。一方、同氏は気候変動への対応に関して懐疑的な姿勢を示していたと報じられており、気候変動についてはグラハム・スチュアート氏が担当相(ビジネス・エネルギー・産業戦略省国務相)として入閣した。大半のポストが入れ替わる中で、ベン・ウォーラス国防相、アロック・シャルマCOP26議長は再任となった。保守党の党首選でリシ・スーナック氏を支持していたドミニク・ラーブ前副首相兼前法相、グラント・シャップス前運輸相、スティーブ・バークレイ前保健・ソーシャルケア相、ジョージ・ユースティス前環境・食糧・農村地域相、マイケル・ゴーブ氏らは閣外となり、マイケル・エリス法務長官がスーナック氏支持派の中で唯一の入閣となった。
(山田恭之)
(英国)
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