カナダ、日本を含む6カ国製の熱間圧延鋼板へのダンピングによる損害判定を継続へ

カナダ国際貿易裁判所（CITT、注）は9月8日、CITTが日本を含む6カ国で製造あるいはこれらの国から輸入した特定の熱間圧延鋼板が、ダンピングによってカナダ国内産業に損害を与える恐れありとする2014年の判定をレビューした結果、引き続き損害の脅威が継続すると判断した。

CITTは2014年5月20日に、ブラジル、デンマーク、インドネシア、イタリア、日本および韓国製の特定の熱間圧延鋼板の輸入が、カナダの国内産業へ損害を与える恐れありとの判定を下していた。

この判定について、特別輸入措置法（SIMA）の第76.1（1）（b）項に基づき、カナダ財務相が2020年4月30日にCITTに対し、損害の脅威の有無についてレビューを行うことを求めていた。CITTはレビューの結果、韓国製の現代製鉄製の製品を除き、カナダの国内産業への損害の脅威が継続すると判断した。CITTは具体的な製品の寸法規格の情報を含む、判定継続の決定に係る指令文書を2022年9月8日付で公表している。また、今般の決定の理由に関する文書を9月23日に出すとしている。

CITTは同8日、台湾、インド、フィリピン、韓国、タイ、トルコ、ウクライナおよびベトナム製のラインパイプ（OCTG）についても、韓国製とトルコ製の一部を除き、カナダの国内な産業への損害の脅威が継続すると判断した。

外国製鉄鋼製品へのアンチダンピング措置については、CITTは8月3日にも、中国製および日本製の大径溶接炭素鋼・合金鋼ラインパイプについて、2016年10月に下したダンピングの認定を継続すると発表している（2022年8月5日記事参照）。

（注）CITTは独立した準司法機関で、ダンピングや補助金を受けた輸入品、セーフガードに関する苦情、連邦政府調達に関する申し立て、関税や物品税の裁定に対する不服申し立てなどの案件を審理する。また、連邦政府からの要請に応じて、経済、貿易、関税に関する事項についても助言を行う。

（高山さわ）