火災事故の米フリーポートLNG、操業完全再開へ是正措置などで規制当局と合意
(米国)
ヒューストン発
2022年08月04日
米国テキサス州の液化天然ガス(LNG)製造施設のフリーポートLNGを運営するフリーポートLNGデベロップメント(FLNG、本社:テキサス州ヒューストン)は8月3日、米国運輸省パイプライン・危険物安全管理局と、6月8日に発生したFLNGでの火災事故に関し是正措置などに関する合意書を交わしたと発表した。
合意書は、FLNGが安全かつ確実にLNG生産を再開し、その後全ての液化設備の操業を完全に再開できるようにすることを目的としている。
また、合意書には、完全操業再開に先立って10月初旬に操業を一部再開するための短期的な是正措置を含んでいる。FLNGはその多くは既に着手済みとしていて、必要な是正措置や、今回の火災事故で被害を受けたFLNGのインフラの修理と復旧作業を期限内に完了できるとの考えだ。FLNGは、液化設備3系列、LNG貯蔵タンク2基、LNG出荷ドック1基で一部操業を再開し、既存の長期顧客との供給契約を履行するのに十分な日量約20億立方フィート(約5,663万立方メートル)のLNG供給が可能になるとみている。
FLNGは、今回の火災事故で被害を受けたインフラの修理や交換に加え、今回の合意に基づく是正措置の一環として、人員の教育訓練やプロセス安全管理、運転・保守手順の改善、施設点検に関する取り組みを評価・実施中だとしている。
FLNGでは6月8日に火災が発生し、FLNGは当初、少なくとも3週間は操業を停止するとメディアの取材に回答していたが(2022年6月13日記事参照)、6月14日の発表では、規制当局の許可が得られ次第、約90日後の部分的な操業再開を目標とするほか、プラントが完全稼働に戻るのは2022年後半を見込むなど、稼働停止の長期化を明らかにしていた(2022年6月15日記事参照)。さらに、6月30日には当局がFLNGに対して再稼働に向けた安全命令を出し、必要な是正措置を策定するよう求めていた(2022年7月1日記事参照)。なお、米国エネルギー情報局(EIA)は、米国のLNG輸出量の17%を占めるFLNGの操業停止により2022年下半期(7~12月)の米国のLNG輸出量は上半期(1~6月)比で日糧6%程度減少すると見込んでいる(2022年7月14日記事参照)。
(沖本憲司)
(米国)
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