2022年下期の米LNG輸出量は減少見込む、フリーポート火災事故が影響
(米国)
ヒューストン発
2022年07月14日
米国エネルギー情報局(EIA)は7月12日、2022年7月のエネルギー短観を発表し、米国の液化天然ガス(LNG)輸出量は2022年下半期に日量平均105億立方フィート(約3億立方メートル)となり、上半期比で日量6%減少するとの見通しを明らかにした。
EIAは輸出量が減少する要因として、米国のLNG輸出能力の17%を占める、テキサス州のフリーポートLNG(FLNG)火災事故による同施設の稼働停止を挙げている。FLNGは6月8日に火災が発生し、FLNGは当初メディアの取材に対し、少なくとも3週間、操業を停止すると回答していたが(2022年6月13日記事参照)、6月14日の発表では、規制当局の許可が得られ次第、約90日後の部分的な操業再開を目標とするほか、プラントが完全稼働に戻るのは2022年後半になると稼働停止の長期化を明らかにしていた(2022年6月15日記事参照)。さらに、6月30日には、米国運輸省パイプライン・危険物安全管理局は、FLNGに対して再稼働に向けた安全命令を出し、必要な対応を実施するよう求め、再稼働に向けた影響が懸念されている(2022年7月1日記事参照)。
EIAは、米国のLNG輸出量は2022年に日量平均109億立方フィート、2023年に日量平均127億立方フィートになると予想している。なお、予測では、FLNGが2023年1月にほぼ完全稼働に戻ることを想定している。
EIAは、2022年下半期の米国ヘンリーハブ・スポット価格(天然ガス先物価格)の平均が100万英熱量単位(MMBtu)当たり5.97ドルになり、2023年第3四半期の天然ガス価格の平均がMMBtu当たり4.36ドルになると予想している。
EIAのジョー・デカロリス長官は「2022年後半はLNGの輸出が減るため、より多くの天然ガスが米国内市場にとどまる可能性が高い」「今後、2022年末までは、米国の天然ガス価格が低下し、この価格低下が米国の天然ガス生産量を減少させる要因になる」と述べている。
(沖本憲司)
(米国)
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