三井物産、米CFインダストリーズとクリーンアンモニア開発で提携
(米国、日本)
ヒューストン発
2022年08月02日
三井物産は7月29日、米国のアンモニア・窒素系肥料メーカーのCFインダストリーズ(本社:イリノイ州ディアフィールド、以下CF)と米国でのクリーンアンモニア生産施設の新設に向け、共同開発契約を締結したと発表した。
三井物産は、CFを事業パートナーとして、米国メキシコ湾で年間100万トン規模のクリーンアンモニアを生産する。CCUS(注1)技術を用い、一般的なアンモニアの製造方法に比べて、60%以上の二酸化炭素(CO2)排出削減を実現する予定だ。両社はCFと三井物産がそれぞれ52%、48%の出資比率で開発を推進することに合意し、2023年のFID(最終投資決断)および2027年の生産開始を目指し、共同でFEED(注2)を実施する予定だ。
従来、肥料や工業用に使われてきたアンモニアは、燃焼時にCO2を排出しないゼロエミッション燃料や水素の輸送手段として注目されている。三井物産は、本プロジェクトで生産されたクリーンアンモニアの、日本をはじめとしたアジア向けの販売を主導し、各国における電力の低炭素化に貢献していく考えだ。
三井物産は、アンモニア事業において約50年にわたる取り扱い実績があり、日本への輸入においてはトップシェアとされている。CFは世界最大のアンモニア生産者とされており、三井物産は操業経験も豊富なCFと共に、両社の強みを最大限に活用し、本プロジェクトを進めていくこととしている。
三井物産は、2050年ネットゼロエミッションを目標に掲げ、その道筋として2030年には2020年3月期比で温室効果ガス(GHG)インパクト半減を目指している。本プロジェクトを含むGHG削減の取り組みを通じて、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していく方針だ。
なお、三井物産による脱炭素化に向けた米国での最近の取り組みとしては、2022年5月25日に、石油ガスおよび再生可能エネルギー領域での余剰エネルギーの有効活用を促進するため、環境負荷低減型クラウドコンピューティング事業者である米国クルーソー・エナジー・システムズ(本社:コロラド州デンバー)の持ち株会社への第三者割当増資を発表した(2022年6月3日記事参照)。
(注1)Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage(二酸化炭素回収・有効利用・貯留)のこと。CCSにおいて回収したCO2を特に有効活用(Utilization)する技術や取り組みを指す。
(注2)FEED:Front End Engineering and Design(基本設計)
(沖本憲司)
(米国、日本)
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