三井物産、米クルーソー・エナジーに第三者割当増資を発表、脱炭素化や天然ガスの有効活用で

(米国、日本)

ヒューストン発

2022年06月03日

三井物産は5月25日、石油ガス分野の脱炭素化および余剰エネルギーの有効活用を促進するため、環境負荷低減型クラウドコンピューティング事業者である米国クルーソー・エナジー・システムズ(本社:コロラド州デンバー)の持ち株会社への第三者割当増資を発表した。

クルーソー・エナジーは、油田の副生産物として焼却処分されていた天然ガス(フレアガス)を引き取り、石油の生産設備内に同社が設置した発電機の燃料として天然ガスを利用、これによって発電した電力をデータセンターの電力として有効活用している。同社は、暗号資産採掘(マイニング)、人工知能(AI)、再現・予測シミュレーション、タンパク質・DNA解析、グラフィック生成など、大量の電力が必要になる計算処理をクリーンかつ安価に提供することが可能となるとしている。

コンピュータの計算処理に大量の電力が必要になる暗号資産マイニングなどの業界では、既存電力網への負荷軽減や再生可能エネルギーの利用に関心が高まっている。一方、エネルギー業界は、世界的にフレアガスの放出規制が強化される中で、フレアガスの放出抑制と有効活用が急務になっており、クルーソー・エナジーは、フレアガスを用いて計算処理の電力として有効活用することで、双方の課題の解決を目指すとしている。

三井物産は、脱炭素社会実現に向け、フレアガスや再生可能エネルギーなどの余剰エネルギーを計算処理の電力として有効活用することに着目しており、クルーソー・エナジーの戦略パートナーとして海外展開などで協業を進めていく考えだ。

なお、三井物産による脱炭素化に向けた米国での最近の取り組みとしては、2021年10月26日に、二酸化炭素(CO2)回収・貯留(CCS)やEOR(注1)事業を担う米国デンバリー(本社:テキサス州プレイノ)と、CCUS(注2)技術を用い、産業排出されるCO2を引き受けて有効利用する「カーボンネガティブ・オイル」事業に向け、共同作業を開始したことを発表している(2021年11月5日記事参照)。

(注1)Enhanced Oil Recovery(二酸化炭素などを利用した石油増進回収)のこと。

(注2)Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage(二酸化炭素回収・有効利用・貯留)のこと。CCSにおいて回収したCO2を特に有効活用(Utilization)する技術や取り組みを指す。

(沖本憲司)

(米国、日本)

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