サウジアラビアではバイデン米大統領の来訪をおおむね評価
(サウジアラビア、米国、中東、湾岸協力会議(GCC))
リヤド発
2022年07月19日
サウジアラビアは7月15~16日の2日間、米国のジョー・バイデン大統領の訪問を受けた。バイデン大統領は滞在中、サルマン・ビン・アブドゥルアジーズ国王に加えて、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子とも長時間に及ぶ会談を実施したほか、湾岸協力会議(GCC)にイラク、エジプト、ヨルダンを加えた9カ国による地域首脳会議に参加した。
今回の訪問を通じて、安全保障、経済協力の両面で両国関係の絆が再確認されたことで、サウジアラビア政府や国内メディアの側では、大統領来訪の成果をおおむね評価する姿勢が目立つ。例えばサウジアラビア投資省は、バイデン大統領の滞在中に両国間で新規投資に係る契約や覚書が合計13件締結されたことを発表した。ハーリド・ビン・アブドゥルアジーズ・アール・ファーレフ投資相は、投資計画は航空産業、防衛、工業全般、健康、エネルギー、観光分野など多岐にわたるとし、質の高い雇用が創出されることに期待を示した。
一方、バイデン大統領は、7月15日のムハンマド皇太子との会談後にメディア向けに単独で実施した記者会見で、サウジアラビア領空の開放、紅海に位置するティラン島の開放・正常化、イエメン停戦での協力など、外交・安全保障分野での進展を成果として強調した。同大統領は次に、経済面での成果として、サウジアラビアによる米国の最新通信技術への投資を通じたインフラストラクチャー・投資協力に言及した。また、グリーン水素、太陽光、炭素回収、原子力などのクリーンエネルギー・イニシアチブでも、同様の協力関係を構築する意向を示した。
注目された原油の増産に関しては、続く話題としてようやく言及された。バイデン大統領は、エネルギー保障と原油供給についても「良い議論ができた」と述べたが、米国側が期待する原油増産については「今後数週間でさらなる前進がみられることを期待する」と可能性をにおわせつつも、増産の確約を示唆する言葉はなかった。
翌日の地域首脳会議のコミュニケでも、国際原油市場の安定化に向けたOPECプラス諸国の努力と7~8月の小幅増産(2022年7月4日記事参照)を評価したのみで、新たな発表はなかった。バイデン大統領の発言の意図が判明するのは、8月3日に予定されている次回のOPECプラスの定期会合となるもようだ。
(秋山士郎)
(サウジアラビア、米国、中東、湾岸協力会議(GCC))
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