バイデン米大統領、230億ドル相当のロシア原産品の関税率を35%に引き上げ

(米国、ロシア、ウクライナ)

ニューヨーク発

2022年06月28日

米国のジョー・バイデン大統領は6月27日、230億ドル相当のロシア原産品の輸入に対して、関税率を35%に引き上げる大統領布告を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。関税率引き上げは布告発表から30日後の米東部時間午前0時01分に有効となる(注)。

米国では既に、ウクライナ侵攻を受けた制裁の一環として、ロシアとベラルーシとの正常貿易関係を撤回する法案が4月8日、バイデン大統領の署名を経て成立している(2022年4月8日記事参照)。同法により、両国からの輸入に対しては4月9日から、米国の品目別関税率表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますのコラム2に記載の関税率を適用している。コラム2とは、米国が正常貿易関係を与えていない国に対する関税率を記したもので、これまではキューバと北朝鮮のみが対象となっていた。しかし、ロシアの主要な輸出品目である天然資源などは、コラム2の関税率が低い場合も多いため、そのままでは制裁の意味をなさないとの見方があった。これを受けて、同法は大統領に対してコラム2の関税率を引き上げる権限を与えている。今回、バイデン大統領はこの権限を用いたことになる。

ドイツで開催のG7首脳会談に参加しているバイデン大統領は、G7の他の首脳とともに、ウクライナ支援と対ロ制裁を強化する声明を発表する予定だ。ホワイトハウスがそれに先立って発表したファクトシート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、ロシアによる軍需品の生産やサプライチェーンに対する制裁強化、対ロ制裁関税による収入のウクライナ支援への充当、ロシア産金の輸入禁止を含む国際市場からのロシアのさらなる排除などが新たな措置として課される見込みだ。今回の米国による関税率引き上げについても触れられており、570を超える品目が対象となり、それらの輸入総額は約230億ドルになるとしている。

なお、2022年2月以降に米国が発動した対ロシア・ベラルーシ関連の制裁については添付資料を参照。

(注)対象となる品目は、大統領布告を官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに公示した際に併せて公表する付属書Aに記載される予定。

(磯部真一)

(米国、ロシア、ウクライナ)

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