米クルーズ、カリフォルニア州内で初の無人による自動運転配車サービスを開始、商業展開へ
(米国)
サンフランシスコ発
2022年06月07日
米国自動運転技術開発のクルーズ(本社:カリフォルニア州サンフランシスコ)は6月2日、サンフランシスコ市内における有料での無人による自動運転車(AV)配車サービスの実施に関し、カリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)から許可を取得したと発表した。全米主要都市で、有料での無人によるAV配車サービスの提供が認められたのは、同社が初だとしている。
同州におけるAVの商業利用に関しては、同州陸運局(DMV)が発行する公道利用許可証を取得した上で、CPUCが設ける「フェーズ1公道利用プログラム」(注)で認可を取得する必要がある。クルーズは、CPUCから同認可を取得したことで、乗客への料金請求が可能になった。現時点の走行範囲はサンフランシスコ市内の特定の道路で、午後10時から午前6時までの間、電気自動車(EV)最大30台を用いてロボタクシー・サービスを提供する。制限速度は時速30マイル(約48キロメートル)で、濃霧や豪雨など悪天候下での走行はせず、同伴者でない客同士の相乗りサービスは提供しない予定だ。利用希望者は、同社ウェブサイトから自宅や職場の最寄りの地区や、利用したい時間帯などの情報を含め、事前に登録する必要がある。
同社は2022年2月からサンフランシスコ市内で夜間にドライバーなしのAV配車サービスのパイロットプログラムを、乗客数を絞った上で一般向けに実施していた。同社プロダクト部門のバイス・プレジデントであるオリバー・キャメロン氏は5月18~19日に開催されたモビリティ関連イベント「TCモビリティ」のトークセッションで、同社のAVを走行させる時間帯として夜間を選んだ理由について、「AVは現実を生きる人々に実用性を証明しなければならない。優れた製品というのは、全ての課題を一挙に解決するのではなく、ニッチな課題から取り組み、それが成功すれば応用範囲を拡大させていくことが多い。夜間走行もニッチの1つと捉えている。個人の安全など、夜間ならではの課題を解決することで、夜間の主な移動手段になることができる」と述べた。
クルーズ以外では、同業のウェイモ(本社:カリフォルニア州マウンテンビュー)がアリゾナ州のフェニックス都市圏で2017年に開始したパイロットプログラムを経て、現在はAV配車サービスを有料で実施しているほか(2021年6月21日記事参照)、モビリティ企業のリフト(本社:カリフォルニア州サンフランシスコ)が自動運転技術開発のモーショナル(本社:マサチューセッツ州ボストン)との協業で2023年からネバダ州ラスベガスでロボ・タクシーを商業展開する予定となっている(2021年11月15日記事参照)。
(注)「ドライバーあり」「ドライバーなし」の2種類あり、いずれもDMVから公道利用許可証を取得した上で申請が可能で、認可されれば乗客に料金を請求することができる。
(田中三保子)
(米国)
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