米ウェイモ、テキサスで自動運転トラックの試験運用へ
(米国)
サンフランシスコ発
2021年06月21日
米国の自動運転技術開発のウェイモ(本社:カリフォルニア州マウンテンビュー)は6月10日、大手物流・トラック輸送企業のJ.B.ハント・トランスポート・サービシズ(以下、J.B.ハント、本社:アーカンソー州ローウェル)と協業し、自動運転トラックを用いたパイロットプロジェクトをテキサス州で行うと発表した。ウェイモの自動運転技術「ウェイモ・ドライバー」(注1)のトラック輸送での商業化に向けた取り組みの一環となる。
同プロジェクトでは、クラス8トラック(注2)が用いられる。トラックには商業自動車運転免許証保持者に加え、ウェイモのソフトウエア技術者と自動運転スペシャリストが同乗し、自動運転を監視する。米国内で輸送車両の往来が最も多い高速道路の1つI-45を走行し、フォートワース~ヒューストン間でJ.B.ハントの顧客の荷物を輸送する。両社はこれまでも、長期的な協業を見据えて車両の定期メンテナンスのベストプラクティスや、未来の配送施設のレイアウト、自動運転技術にとって最適な輸送レーンなどに関して共同で調査してきたという。
ウェイモは2018年にもジョージア州アトランタで自動運転トラック輸送のパイロットプログラムを行っている。2020年1月には輸送大手のUPSと提携し、ウェイモの自動運転車両(クライスラーのミニバン「パシフィカ」)がアリゾナ州フェニックス都市圏のUPS店舗から同州テンピ市のUPSのハブへ荷物を輸送するパイロットプログラムを発表した(注3)。
また、ウェイモは2017年にフェニックス都市圏で自動運転配車サービスのパイロットプログラムを開始後、2018年に正式に自動運転配車サービス「ウェイモ・ワン」を立ち上げた。開始当初は利用者を限定していたが、現在ではフェニックス都市圏であればスマートフォンのアプリを使って誰でも利用できるサービス(有料)となっている。ウェイモ・ワン開始当初はセーフティードライバーが同乗していたが、現在は完全無人運転となっている。
ウェイモと今回協業するJ.B.ハントは1961年の創業で、フォーチュン500企業の1社。米国のほか、カナダとメキシコでサービスを提供する。
(注1)ハードウエアとソフトウエアがある。ハードウエアはLidar(レーザー光を発射し、物体に反射して戻ってくるまでの時間を計測する技術)やカメラ、人工知能(AI)による計算プラットフォームなどを含むセンサー一式で360度の視野を備える。ソフトウエアは、センサーから集めた情報を基に、車両の位置や周囲の状況、状況予測、車両が取るべき挙動を判断する。自動運転技術レベル4に相当し、セーフティードライバーの同乗を必要としないが、自動運転可能な環境や地域に制限がある。
(注2)車両総重量(GVWR)3万3,001ポンド(約15トン)以上のトラック。一般的な商用トラック6クラスのうち2番目に大きいクラス。
(注3)セーフティードライバーが同乗。
(田中三保子)
(米国)
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