ジェトロ、米国のウイグル強制労働防止法ガイダンスの暫定仮訳を公開
(米国、中国、日本)
米州課
2022年06月17日
中国の新疆ウイグル自治区が関与する製品の米国への輸入を原則禁止する「ウイグル強制労働防止法(UFLPA)」の施行が6月21日に迫る。米国では1930年改正関税法第307条に基づいて、外国で強制労働により採掘、生産または製造された製品の輸入貨物引き渡しを保留する違反商品保留命令(WRO、注)が運用されているが、6月21日以降に輸入される新疆ウイグル自治区関連製品については、WROに代わってUFLPAが優先される。同法に基づいて、商品またはその構成部品が新疆ウイグル自治区で生産されている、または同法でリスト指定される事業者によって生産されている可能性のある貨物は拘留・排除・押収・没収となる。同法の執行を担う米国税関国境保護局(CBP)は6月13日、同法執行プロセスや、輸入者が同法を順守する上で役立ち得る資料やツールなどの情報を示した運用ガイダンスを公表した。その概要については2022年6月14日記事を参照。
ジェトロでは、日本企業や日系企業が参照しやすいかたちで同ガイダンスを紹介すべく、ガイダンスについての「暫定的な仮訳」を公表した。ガイダンスは(1)UFLPAに基づく拘留・排除・押収・没収など執行プロセス、(2)輸入禁止措置に対する例外の申請、(3)輸入者のサプライチェーン・デューディリジェンスに利用し得る参考資料やツール、(4)CBPが輸入者に要求する可能性のある情報の種類と性質の4項目について説明している。また、これまでに強制労働など人権侵害があったとしてWROが出された綿、トマト(2022年1月15日記事参照)、太陽光パネル原料(2022年6月25日記事参照)のサプライチェーン追跡についての具体的なガイダンスを示している。
なお、CBPはガイダンスと併せて、6月21日に公表するUFLPAの執行戦略に含まれる輸入者向けガイダンスを順守するよう求めている。UFLPAで特定が求められている、新疆ウイグル自治区で強制労働により物品を生産している事業体などのリストは今回のガイダンスには含まれていない。同リストは、今後官報で公示する予定としている。
(注)The Tariff Act of 1930(合衆国法典19編 第4章)で、全ての「外国において全部または一部を囚人労働、強制労働もしくは刑罰による年季奉公労働によって採掘、生産または製造した物品、製品商品、用品器具および製品商品」の輸入が禁止され、貨物の引き渡しを保留する違反商品保留命令(WRO:Withhold Release Orders)が出される。
(葛西泰介)
(米国、中国、日本)
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