1月の米消費者物価、前年同月比7.5%上昇、約40年ぶりの高い伸び
(米国)
ニューヨーク発
2022年02月15日
米国労働省が2月10日に発表した2022年1月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比7.5%上昇し、2021年12月より上昇幅がさらに拡大した(2022年1月13日記事参照)。変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数は6.0%上昇となった(添付資料図参照)。民間予想はそれぞれ7.2%、5.9%だった。CPIは1982年2月以来、コア指数は1982年8月以来の高い上昇幅だった。前月比では消費者物価指数、コア指数ともに0.6%上昇し、民間予想はともに0.4%で、こちらも民間予想を上回る高い伸びとなった。なお、前月比の伸びについては、今回季節調整の方法が変更されたことにより、過去にさかのぼって改定されている。
品目別に前年同月比でみると、ほぼ前月と同じ動きになっている。食料品が7.0%上昇(前月:6.3%上昇)と伸びが加速しており、内訳でも家庭用食品、外食ともに伸びが引き続き高い。ガソリンは40.0%上昇(49.6%上昇)で伸びが鈍化、前月比では0.8%下落した。財では、中古車が40.5%上昇、新車12.2%上昇と引き続き高く、財全体でも11.7%上昇と前月(10.7%上昇)よりさらに伸びた。サービスは4.1%上昇で財に比べると小幅だが、物価全体で3割程度のウェイトを占める住居費が4.4%(前月4.1%上昇)と伸びがさらに加速した。航空運賃は4.9%上昇で前月の1.4%から大きく伸びた(添付資料表参照)。
2022年1月はオミクロン株感染拡大による需要減退が懸念されていたが、先日の雇用統計に引き続き(2022年2月7日記事参照)、CPIも米国経済の堅調さを反映した強い内容となった。今後は、2021年4月ごろからの高いCPIの伸びの時期と前年同月比では重なってくることから徐々に緩やかになってくるとみられているが、前述のとおり住宅費が高い伸びをみせていることや、1月の平均時給も高止まりが続いていることなどから、新型コロナウイルス感染拡大前の2%程度の伸び率よりは高い水準にとどまるとの見方が多い。調査会社キャピタル・エコノミクスのシニア米国エコノミストのアンドリュー・ハンター氏は「今年はより良好なベース効果(注)と供給不足の一部緩和により、コアインフレ率が低下すると依然として予想しているが、これは連邦制度準備制度理事会(FRB)の物価目標(2%)をしばらく上回ることを示唆している」と述べている(CNBC2月10日)。非常に強かったCPIを受けて、長期金利(10年米国債)は2月10日、2年半ぶりに2%を超えた。既にFRBは金融引き締め姿勢に転じているが(2022年1月27日記事参照)、実態面でも高インフレを背景に金利上昇が確実に進んでいる状況にある。物価上昇に関連して、10日に行われた医療費削減に関する会見の中でジョー・バイデン米国大統領は「私はガソリン価格を下げるため、あらゆる手を尽くす」と述べている。
(注)時系列データの伸び率を算出する際に、比較対象となるデータの多寡がもたらす影響のこと。ここでは2021年の消費者物価指数の伸び率が、新型コロナウイルスの感染拡大の影響による2020年の物価下落を基準として算出されている点に言及している。
(宮野慶太)
(米国)
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