バイデン米大統領、太陽光発電製品輸入へのセーフガードを4年間延長

(米国)

ニューヨーク発

2022年02月07日

ジョー・バイデン米国大統領は2月4日、トランプ前政権が2018年2月に発動した太陽光発電製品輸入に対する緊急輸入制限措置(セーフガード)を4年間延長する大統領布告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。

セーフガードは、ある製品の輸入が急増して輸入国の産業に損害を与えている場合に、当該輸入国政府が発動する関税引き上げ・輸入数量制限措置で、WTOのセーフガード協定で認められている。トランプ前政権は一部の太陽光発電製品の輸入急増が国内産業に損害を与えているとして、2018年2月7日から4年間、該当する太陽光発電セルに関税割り当て(TRQ、注)を、そのほかのモジュールなどの製品には追加関税を導入していた(2018年1月30日記事参照)。その期限が2月6日に迫る中、バイデン大統領は同措置を延長するか否かの判断を迫られていた。

セーフガードの延長の是非に関しては、国内産業への損害の有無を認定する米国の国際貿易委員会(ITC)が2021年12月に、「引き続き必要」との判断PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表していた。この判定をもって、米国内の太陽光発電製品の製造者はバイデン政権にセーフガードの延長を働き掛けていた。一方、他国からの輸入製品を基に太陽光発電所の建設・運営や、住宅・商業施設への太陽光パネル設置などを行う企業からは、国内だけの製品供給では需要を満たせないとして、セーフガード終了を求めており、気候変動対策を重視するバイデン政権としては板挟みの状態となっていた。バイデン政権はこうした状況を踏まえた折衷案として、セーフガード自体は維持しつつ、国内での需要が増えている両面太陽光パネルを適用除外にするとともに、TRQで追加関税を課さない太陽光発電セルの輸入量を現行の2.5ギガワット(GW)分から5GW分まで倍増させる、いわゆる例外措置を加えたとみられる。なお、通商代表部(USTR)が公開した大統領布告の付属書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、追加関税率は現行18%だが、2月7日以降の1年目は14.75%、2年目は14.5%、3年目は14.25%、4年目は14%になるとしている。また、大統領布告はUSTRに対して、カナダとメキシコとは個別交渉の上、それら2カ国からの輸入がセーフガードに影響しないと判断した場合、セーフガードの完全または部分的な適用停止を行ってよいとしている。

米国太陽エネルギー産業協会(SEIA)は政権の判断を受けて、セーフガードの延長は「残念」とする一方で、「両面太陽光パネルを適用除外にするとともに、太陽光発電セルのTRQ枠を増やすというバランスの取れた解決策にたどりついた」と、一定の評価を与える声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを出している。

(注)一定の輸入量を超えた場合に追加関税を課す制度。

(磯部真一)

(米国)

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