バイデン米大統領、新疆ウイグル自治区の禁輸法案に署名、ガイダンス策定へ
(米国、中国)
ニューヨーク発
2021年12月24日
米国のジョー・バイデン大統領は12月23日、中国の新疆ウイグル自治区が関与する製品の輸入を原則禁止する法案(H.R.6256)に署名した。今後パブリックコメント募集などを経て、事業者向けのガイダンスが作成される予定で、法成立180日後に禁輸措置が有効となる。法案内容やガイダンスなどの詳細については2021年12月23日記事参照。
ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は署名同日の定例記者会見で、全ての産業界に対して、新疆ウイグル自治区を含めて、強制労働に依拠する製品の調達を行わないよう促した。また「サプライチェーンにおいて強制労働やその他の人権侵害に対処しない企業は、米国だけでなく欧州や他の地域でも法律や評判、消費者に関わる重大なリスクに直面する」と発言している。なお、署名に際しては大統領が出席しての署名式は行われていない。
下院のナンシー・ペロシ議長(民主党、カリフォルニア州)は法案成立を歓迎するとともに、「米国が商業的利益を理由に中国の人権について主張しなければ、世界中で人権を主張する道徳的な権威を失う」と述べ、今後も議会として新疆ウイグル自治区や香港、チベット、中国本土の人権侵害に対処するとしている。共和党で法案を推進したマルコ・ルビオ上院議員(フロリダ州)は「法案成立は中国政府との関係を根本的に変える」として、同法に基づく適切な取り締まりが行われるよう、バイデン政権と連携していく姿勢を示している。
今回の法案成立前には、米半導体大手インテルがサプライヤーに新疆ウイグル自治区との関係を断つよう求めていたが、中国国内から反発があり、12月23日に中国の消費者や取引相手などに謝罪する声明を出している(「ウォールストリート・ジャーナル」紙12月23日)。インテルは2020年、中国関連事業で約200億ドルの収益を記録している。サキ報道官は前出の会見で、個別企業への言及は避ける一方、「米企業は、基本的人権のために立ち上がり、また(人権)抑圧に反対する上で、謝罪の必要性を感じるべきではない」とコメントしている。
(藪恭兵)
(米国、中国)
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