米財務省、新疆ウイグル自治区での人権侵害関与を理由に中国AI企業など制裁、世界人権デーに発表
(米国、中国、バングラデシュ、ミャンマー、北朝鮮)
ニューヨーク発
2021年12月13日
米国財務省外国資産管理局(OFAC)は12月10日、中国の新疆ウイグル自治区での人権侵害に関与したとして、中国の人工知能(AI)大手の商湯科技(センスタイム)に対する投資規制を発表した。国連が制定する世界人権デーに合わせて、ほかにも中国やバングラデシュ、北朝鮮、ミャンマーに関係する個人や主体を制裁対象に指定している。
センスタイムは、中国の複数都市のほか、国外ではシンガポールや日本、アラブ首長国連邦(UAE)などにも拠点を構える。OFACによると、同社は中国・深センにある子会社を100%所有し、サングラスやマスクを着用しても個人が属する民族を特定可能な顔認証技術を開発しているという。
センスタイムは、OFACの「非・特別指定国民 中国軍事・産業複合企業リスト(NS-CMIC List)」に追加され、米国人(注)による証券投資が禁止される。同リストは2020年11月に当時のトランプ大統領が導入し、バイデン政権も対象範囲を広げている(2021年6月7日記事参照)。センスタイムは12月17日に香港取引所への上場を計画していたが、同計画を遅らせる意向で、目論見書の修正が必要と指摘されている(ブルームバーグ12月9日)。同社については2019年、米商務省が輸出管理規則(EAR)のエンティティー・リストに指定していた(2019年10月9日記事参照)。
OFACはまた、新疆ウイグル自治区の共産党書記(代行)を務めた経験のある個人2人について、在任中に100万人以上のウイグル族やその他の少数民族の拘束があったとして、在米資産の凍結や米国への入国禁止を発表した。
中国以外でも、バングラデシュ政府が薬物撲滅運動の中で数百人が失踪または法的手続きを経ずに殺害されたとの報告を踏まえ、同運動を組織する団体や関与する個人6人に制裁を科している。このほか、北朝鮮で「政治的な悪事」を働く個人を罰する現地司法当局や、ミャンマー国軍の権力掌握に関与したとされる地域首相4人、同国で武器の製造・調達などを所管する3主体への制裁を発表した。
(注)米国市民、永住者、米国の法律または米国内の管轄権に基づいて組織された事業体(外国支社も含む)または米国内にいる個人が含まれる。
(藪恭兵)
(米国、中国、バングラデシュ、ミャンマー、北朝鮮)
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