超党派インフラ投資計画、今後10年間で2,561億ドルの財政赤字見通し
(米国)
ニューヨーク発
2021年08月06日
米国議会予算局(CBO)は8月5日、上院で審議中の超党派のインフラ投資計画法案(2021年7月29日記事参照)について、成立した場合には10年間で2,561億ドルの財政赤字が拡大するとの分析を公表した。上院では同法案の今週末での採決を目指しているとされるが、採決に当たって、同法案が財政に与え得る影響に関するCBOの分析を踏まえたいとの声が一部議員から上がっていた(政治専門誌「ザ・ヒル」8月5日)。
CBOによれば、同法案の成立により、10年間(2021~2031会計年度)で社会保障など義務的経費は1,096億ドル減少し、歳入が497億ドル増加する一方で、公共事業などの裁量的経費は約4,154億ドル増加すると推定している。そして正味では、2,561億ドルの財政赤字が発生すると分析している(詳細は添付資料表参照)。なお、同法案を支持する議員らは、その成立による経済押し上げ効果から、かなりの歳入増が期待されると主張しているものの、CBOは、同法案成立によるマクロ経済的な影響は今回の分析に含めていないと述べている。
法案を主導した議員らは同法案が財政中立的だと主張してきたが、今回のCBOの分析結果により、特に財政規律を重んじる共和党議員からの法案支持が期待できるかが不透明になっている。断続的に修正協議が行われている同法案だが、今回のCBOの分析結果により、先行きはますます不透明なものへと変わっている。同法案の次には、民主党主導の3兆5,000億ドルの投資計画が控えているため、上院は8月の休会を一部返上する構えと報道されている(政治専門誌「ポリティコ」8月5日)。
(宮野慶太)
(米国)
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