超党派インフラ投資計画が米上院で審議入り、8月休会前の可決目指す
(米国)
ニューヨーク発
2021年07月30日
米国バイデン政権の米国雇用計画の提案を受けて、超党派の上院議員グループが提出していたインフラ投資計画法案(2021年6月25日記事参照)が7月28日に上院で審議入りした。21日に同法案の財源について一部共和党議員から疑義が入る中、民主党主導で審議入りの動議が提出されたが、反対多数で否決され、再び審議入りに向けた協議が続いていた。
ホワイトハウスなどによると、同計画の新規支出規模は5,500億ドルと、当初提案時の5,790億ドルから若干縮小されている(添付資料表参照)。財源については、当初は含まれていた歳入庁(IRS)の徴税強化が共和党の反対により削除され、未使用の失業保険給付金の活用と、2020年の新型コロナウイルス対策の余剰金などが財源になると思われる。法人税増税は当初の予定通り含まれていない。
ジョー・バイデン大統領は審議入りを受け、「(超党派のインフラ投資計画について)どちらの側も望むもの全てを手に入れたわけではないが、同計画は米国を再建するための青写真であり、歴史的な景気回復を長期的に後押しする」との声明を発表している。
民主党の上院院内総務のチャック・シューマー議員(ニューヨーク州)は同法案の見通しについて「8月の休会前に議会を通過させたい」と述べ、迅速に法案処理を図りたい考えだが、これまでの協議の難航を踏まえると、法案成立までにはさらなる紆余(うよ)曲折も予想される。また、次には今回の計画には含まれなかった人的投資や気候変動対策などを柱とする民主党提案の3兆5,000億ドル規模の対策パッケージ(2021年7月16日記事参照)の処理が控えていることに加え、8月から復活する債務上限問題の処理(2021年7月26日記事参照)も対応が急がれる。予算をめぐって引き続き綱渡りの対応が続きそうだ。
(宮野慶太)
(米国)
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