米下院、民主党の投資計画実現に向け予算決議を可決、超党派インフラ法案は9月27日までに採決へ
(米国)
ニューヨーク発
2021年08月26日
米国議会下院は8月24日、民主党提案の3兆5,000億ドル規模の投資計画(2021年7月26日記事参照)について、予算決議案を可決した。また、民主党のナンシー・ペロシ下院議長(カリフォルニア州)は同日、上院で8月10日に可決された約1兆ドルの超党派インフラ法案(2021年8月11日記事参照)を9月27日までに採決するとの声明を発表した。
予算決議は、歳出や歳入、財政収支など予算の全体像を示すもので、予算決議を経て、各委員会などで詳細な関連法案作りなどの予算編成作業が本格化する。上院では既に民主党の投資計画の法案策定に向けた予算決議が可決されており、休会期間中の下院の動向が注目されていたが、今回、休会を一時中断して対応した。
予算決議をめぐっては、ジョシュ・ゴットハイマー下院議員(ニュージャージー州)ら10人の民主党中道派議員が、上院から既に送付されている超党派インフラ法案を先に可決すべきと主張していた。かねて同法案と民主党の投資計画は同時に処理するべきと主張していたペロシ下院議長や民主党左派と対立したが、超党派インフラ法案の採決日程を確約することで折り合った。予算決議案は、党派に沿って賛成220票、反対212票での可決だった。
超党派インフラ法案と民主党の投資計画両方の成立に向けてまた一歩前進したが、民主党と共和党で勢力が拮抗(きっこう)する上院のみならず、下院でも民主党内での意見対立により調整の難しさが露呈したかたちだ。下院での現在の勢力は、民主党が220議席、共和党が212議席(欠員3議席)となっている。民主党の投資計画については共和党の協力が見込めないことを考慮すると、民主党内から同計画に反対する議員が4人以上出た場合は、同党だけで過半数を確保できず、下院での同計画の可決は難しくなる。今後、上下院で同計画の具体化が進められるが、規模や内容の修正が必要になる可能性もある。上院では、民主党中道派に属するジョー・マンチン議員(ウェストバージニア州)とキルステン・シネマ議員(アリゾナ州)が同計画の規模に懸念を示している。下院でも、上院でのこうした動きに呼応する議員が現れる可能性があり、民主党内での左派と中道派の調整も含めて、同計画の今後の行方が注目される。
(宮野慶太)
(米国)
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