バイデン米政権、新疆ウイグル自治区含むサプライチェーンに関する勧告を更新
(米国、中国)
ニューヨーク発
2021年07月14日
米国のバイデン政権は7月13日、中国の新疆ウイグル自治区での強制労働ほか人権侵害に関与する事業体が、サプライチェーンに含まれていないか産業界に注意を促す勧告内容を更新した。これは、トランプ前政権下の2020年7月に発表されていたもので(2020年7月9日記事参照)、今回が初の更新となる。
勧告は、6つの省庁(注)からなる諮問機関がまとめたもので、人権侵害のリスクがある産業分野や取引慣行、既に米国の制裁対象となっている事業体や取引行為を示した上で、企業・個人に対して自らのサプライチェーンにそれらリスクがないかデューデリジェンスを求める内容となっている。かつ、米国の各種法令に違反した場合には罰則がある可能性も示している。
今回の更新では主に、トランプ前政権以降、米国政府が実際に科してきた制裁の内容が追加されている(添付資料参照)。具体的には、リスクの高い産業分野として農業、綿関連、太陽光関連が加えられている。例えば、トランプ前政権は2021年1月に新疆ウイグル自治区に由来する綿・トマト製品の輸入の全面的な留保を発表し、バイデン政権も6月に、同自治区に拠点を持つ中国企業からの太陽光パネル関連製品の輸入の一部留保を発表している。また、同自治区での人権侵害への加担を理由に、これまで米政府が輸出管理規則上のエンティティー・リストや財務省管轄の特別指定国民(SDN)に掲載・指定した事業体との取引に関しても注意を促している。
各種報告書でも新疆ウイグル自治区問題を筆頭の懸念に
国務省は人権関連の取り組みとして、7月1日には「2021年人身取引報告書」を、12日には「大量虐殺や虐殺行為の防止に関する報告書」を発表した。これらはいずれも年次報告書で、世界各国・地域における問題につき現状評価と米政府としての対応方針をまとめたものになっている。アントニー・ブリンケン国務長官は各報告書の公表に合わせた記者会見・プレスリリースで、名指しで新疆ウイグル自治区での人権問題を指摘し、今回の勧告にも記載したバイデン政権としての取り組み事例を強調した。
(注)2020年7月の発足時点では、国務省、財務省、商務省、国土安全保障省の4省で構成されていたが、今回から通商代表部(USTR)と労働省が加わっている。
(磯部真一)
(米国、中国)
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