6月の米小売売上高は2カ月ぶり増加、フードサービスなどへの支出が好調

(米国)

ニューヨーク発

2021年07月21日

米国商務省の速報PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(7月16日付)によると、6月の小売売上高(季節調整値)は前月比0.6%増の6,213億ドルと、2カ月ぶりの増加になった(添付資料表参照)。ブルームバーグがまとめた市場予想の0.3%減を上回った。なお、5月の売上高は1.3%減(速報値)から1.7%減に下方修正された(2021年6月17日記事参照)。

米国保険会社ネーションワイドでシニアエコノミストを務めるベン・エアーズ氏は「多くの小売業者は、店舗への来店者の増加や、商品の価格上昇による恩恵を受けており、これは多くのサービス業にとって待望の回復だ」と述べた(「CNBC」7月16日)。また、全米小売業協会(NRF)の会長兼最高経営責任者(CEO)のマシュー・シェイ氏は、対面での授業が再開する今秋の新学期シーズンに向けて電子機器などの購入が増え、記録的な売り上げ増が期待できる、と述べた。一方で、「自動車販売の減少が示すように、小売業者は製品不足やサプライチェーンの制約に直面している」との懸念を示し、議会と政府に対し、インフラ投資に関連した法案を制定するよう要請した(NRFプレスリリース7月16日)。

フードサービス、総合小売り、ガソリンスタンドなどが押し上げ要因に

業種別にみると、フードサービスが前月比2.3%増の706億ドル、寄与度0.26ポイントと全体を最も押し上げた。次いで、総合小売りが1.9%増の686億ドル(寄与度:0.21ポイント)、ガソリンスタンドが2.5%増の471億ドル(0.19ポイント)で増加に寄与した。一方、自動車・同部品は2.0%減の1,321億ドルと減少幅が大きかった。

また、民間調査会社コンファレンスボードが6月29日に発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした6月の消費者信頼感指数は127.3と、5月(120.0)より7.3ポイント上昇した。内訳をみると、現況指数は157.7(5月:148.7)で9.0ポイント上昇し、6カ月先の景況見通しを示す期待指数は107.0(5月:100.9)で6.1ポイント上昇した。

消費者信頼感指数は、新型コロナウイルスの感染拡大が本格化した2020年3月以来、1年3カ月ぶりの高水準となった。コンファレンスボードの経済指標シニアディレクターのリン・フランコ氏は「現況に対する消費者の評価は再び改善し、第2四半期の経済成長がさらに強化されたことを示唆している」と述べ、「短期的なインフレ予想は高まったものの、消費者の信頼感や購買意欲にはほとんど影響していない」と指摘した。住宅、自動車、家電製品の購入を計画する消費者の割合は高まっており、旅行などサービスへの支出が増加し続けていることから、短期的には個人消費が経済成長を支え続けるとの見方を示した。

(樫葉さくら)

(米国)

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