5月の米小売売上高3カ月ぶりの減少、消費は物からサービスへ

(米国)

ニューヨーク発

2021年06月17日

米国商務省の速報(6月15日)によると、5月の小売売上高(季節調整値)は前月比1.3%減の6,202億ドルと、3カ月ぶりの減少になった(添付資料表参照)。減少幅はブルームバーグがまとめた市場予想の0.8%減を上回った。なお、4月の売上高は、横ばい(速報値)から0.9%増に上方修正された(2021年5月20日記事参照)。

米国内での新型コロナウイルスのワクチン接種の拡大や、経済活動の再開の広がりから、消費が物からサービスへ移行しているとみられており、BMOキャピタル・マーケットのシニアエコノミスト、サル・グアテエリ氏は「家計支出は全体的な景気回復を支えるが、今後、消費者が外食、旅行、映画やコンサートに出掛けるようになれば、成長は物からサービスへ移行するだろう」と指摘した(「マーケットウォッチ」6月15日)。

自動車・同部品、建材・園芸用品、総合小売りなどが押し下げ要因に

業種別にみると、自動車・同部品が前月比3.7%減の1,360億ドル、寄与度マイナス0.83ポイントと全体を最も押し下げた。この落ち込みの背景には、世界的な半導体不足により自動車の生産が需要に追い付かず、供給が逼迫したことが影響した。次いで、建材・園芸用品が5.9%減の399億ドル(寄与度:マイナス0.40ポイント)、総合小売りが3.3%減の673億ドル(マイナス0.36ポイント)と減少に寄与した。一方、小売売上高に含まれる唯一のサービス業であるフードサービスは前月比1.8%増の673ドルと増加幅が大きかった。

また、民間調査会社コンファレンスボードが5月25日に発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした5月の消費者信頼感指数は117.2と、4月(117.5)より0.3ポイント低下した。内訳をみると、現況指数は144.3(4月:131.9)で12.4ポイント上昇し、6カ月先の景況見通しを示す期待指数は99.1(4月:107.9)で8.8ポイント減少した。

コンファレンスボードの経済指標シニアディレクターのリン・フランコ氏は「現況に対する消費者の評価が改善したことは、第2四半期の経済成長が堅調であることを示唆している」とした。一方、「今後数カ月に経済成長が減速し、労働市場が軟化するとの見方から、消費者の短期的な見通しに対する楽観度が後退した」とも述べた。また、経済活動の再開が進む中、今後は政府の財政支援が減少することや、インフレ懸念の高まりが、消費者の収入の見通しに影をさす可能性があるとの見方も示した。

(樫葉さくら)

(米国)

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