改正気候保護法が成立、気候保護のための新プログラム予算化も閣議決定
(ドイツ)
デュッセルドルフ発
2021年07月06日
改正気候保護法が6月25日、ドイツ連邦参議院(上院)で承認され、成立した。同改正法は、温室効果ガス(GHG)排出量の削減目標を厳格化し、削減方法やスケジュールを具体化する。改正法案は5月12日に閣議決定された(2021年5月24日記事参照)後、6月24日に連邦議会(下院)で可決されていた。今後、官報掲載日の翌日に施行される。
今回の改正では、気候中立(GHG排出量実質ゼロ)達成を改正前の2050年から5年前倒して2045年とし、2020年代と2030年代の年間GHG削減および許容排出量の目標を新たに定めた。まず、2030年までに1990年比で55%減だったGHG削減目標を65%減に引き上げ、2040年までに1990年比で88%減とする中間目標を新たに導入、各年の削減目標も明確にした(添付資料表1参照)。2041年から2045年の年間削減目標は2032年までに定める。加えて、エネルギー産業や製造業、建築、交通、農業、廃棄物その他の計6分野の2030年までのGHG年間許容排出量目標を厳格化し(添付資料表2参照)、2024年に2031年から2040年までのGHG年間許容排出量目標を定め、2034年に気候中立達成の最終段階へ向けて前記6分野の2041年から2045年までの年間許容排出量目標を定めることとした。その他、森林や湿地などの二酸化炭素(CO2)吸収源の保全・再生により、畜産や特定の産業プロセスにおけるGHGの不可避の排出を相殺する目標を新たに盛り込んだ。
連邦議会は、閣議決定後の政府提出法案に若干の追加や補足を行う修正をしたが、大半を政府案のまま承認した。連邦参議院での修正はなかった。主な修正は、政府が毎年発表する「気候保護報告書」には、2024年以降は隔年で、EU域内のCO2価格の状況と今後の動向、ドイツ国内のCO2価格や目標との整合性も記載することを追加した点だ。
同法について、スベニャ・シュルツェ環境・自然保護・原子力安全相は「世代間公平や計画立案に関する確実性を高め、経済を圧迫しないが、経済を変革・近代化する毅然とした気候保護を実現する」と評価した。
また、連邦政府は6月23日、2022年予算案の枠組みで「気候保護緊急プログラム2022」を決定し、さらなる投資を強力に推進することを閣議決定した。2022年から2025年にかけて建築、交通、製造業、土地利用など、農業、エネルギー産業などの分野に総額80億ユーロ以上を拠出する見込みだ。2022年には50億ユーロ余りの予算が割り当てられている(添付資料表3参照)。同プログラムは、GHG排出量削減が目に見えて表れることが期待できる短期的な対策に焦点を置いている。
(ベアナデット・マイヤー、作山直樹)
(ドイツ)
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