EU理事会、12カ国の復興計画を承認、復興基金予算の執行開始へ
(EU)
ブリュッセル発
2021年07月15日
EU理事会(閣僚理事会)は7月13日、「復興レジリエンス計画(復興計画)」の承認の第1弾として、12加盟国の復興計画を承認したと発表した。今回承認を受けたのは、復興計画の提出目標だった4月30日の前後までに提出したオーストリア、ベルギー、デンマーク、フランス、ドイツ、ギリシャ、イタリア、ラトビア、ルクセンブルク、ポルトガル、スロバキア、スペインだ。これにより、欧州委はこの12カ国に対して、早ければ7月後半にも予算の執行を実施するとみられる。
復興計画とは、EUの復興基金の予算の9割近くを占める「復興レジリエンス・ファシリティ(RRF)」(2020年9月18日記事参照)から提供される予算の使途について、グリーン化やデジタル化対策などの既定の予算配分に沿って、各加盟国が改革案や公共投資計画をまとめたもの。RRFからの予算執行のためには、各加盟国は、この復興計画を欧州委員会に提出し、審査を受けた上で、EU理事会から承認を受ける必要がある。欧州委は、既にRRFの財源となるEU名義の債券の発行を開始しており(2021年6月18日記事参照)、7月13日までに3回の発行を経て、約450億ユーロを調達している。このことから、欧州委は、今回承認を受けた12カ国と補助金・融資契約を締結し次第、前払い分として申請額の13%分を速やかに提供する予定だとしている(2021年6月28日記事参照)。残りの申請額に関しては、復興計画に基づく事業の実施と、復興計画に規定された目標達成の状況を踏まえて、加盟国は年に2回まで欧州委に対し財政拠出を申請することができる。欧州委は、加盟国からの申請の都度、審査を実施し、各加盟国の代表からなる経済財政委員会の意見を踏まえた上で、加盟国に提供することになる。
2カ国は復興計画を未提出
7月13日の時点で、オランダとブルガリアはいまだに復興計画を正式に欧州委に提出していない。残りの25カ国は既に欧州委に復興計画を提出しており、うち9カ国が欧州委の審査段階(注1)、4カ国は既に欧州委の審査を完了しており、EU理事会の承認の待ちの段階(注2)だ。
(注1)チェコ、エストニア、アイルランド、ハンガリー、マルタ、ポーランド、ルーマニア、フィンランド、スウェーデン。
(注2)クロアチア、キプロス、リトアニア、スロベニア。
(吉沼啓介)
(EU)
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