初の大湾区弁護士試験を7月に実施

(香港)

香港発

2021年06月28日

香港政府律政司と中国司法部(ともに、日本の法務省に相当)は6月24日、初となる広東・香港・マカオ大湾区弁護士試験を7月31日に実施すると発表した。香港とマカオの弁護士が大湾区内9都市(注)で法律業務を行うための資格試験で、もともとは2020年10月に中国国務院が発表した「香港法律従事者とマカオ弁護士の粤港澳大湾区9都市における本土業務資格の取得と弁護士業務従事に関する試行弁法」(国弁発[2020]37号)に基づき、2021年1月30日に実施する予定だったが、新型コロナウイルス感染状況を考慮して延期していた。

受験対象は、香港の高等法院(裁判所)の認可を得て弁護士登録をし、5年以上の実務経験がある事務弁護士(ソリシター)と法廷弁護士(バリスタ―)で、資格取得により域内9都市で民事・商事に関する中国法実務(訴訟業務、非訴訟業務を問わず)を取り扱うことが可能となる。

大湾区域内で進む法務分野の規制緩和

大湾区内の法律・紛争解決サービスのさらなる開放と融合については、「粤港澳大湾区発展計画綱要」(2019年4月18日付調査レポート参照)で方向性が示され、「中国本土と香港間の経済緊密化協定(CEPA)」の下、香港の弁護士による中国本土進出に関する規制緩和が進んでいる。2020年6月から施行されているCEPAの「サービス貿易協定(改定版)」では、香港と中国本土の法律事務所が共同設立する際に必要とされていた30%の最低出資比率が撤廃されたほか、香港の弁護士が中国本土で所属可能な事務所が1事務所から3事務所へ増加が認められた。

規制緩和が進むことで、香港の弁護士にとっては大湾区内での幅広い活動が可能となり、ビジネスチャンスが拡大する。大湾区内企業にとっても、選択可能な紛争解決手段が増え、多元的な法律サービスの享受が可能となり、大湾区での投資や貿易、金融など企業活動の活発化を後押しするものと期待されている。

(注)広東省内の広州市、深セン市、珠海市、仏山市、恵州市、東莞市、中山市、江門市、肇慶市の9都市。

(渕田裕介)

(香港)

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