バイデン米政権、「米国雇用計画」の規模縮小へ、共和党に譲歩
(米国)
ニューヨーク発
2021年05月25日
バイデン米国政権は5月21日、連邦議会に提案中の「米国雇用計画」について、当初の2兆2,500億ドルの規模(2021年4月5日記事参照)を縮小し、1兆7,000億ドルに修正した案を提示していることを明らかにした。ジェン・サキ大統領報道官が定例記者会見の中で述べた。
サキ報道官や米国メディアによれば、修正案では、交通インフラ整備のうち道路や橋に係る予算を390億ドル減額し、生活インフラ整備のうち高速通信網整備に係る予算を350億ドル減額、また、製造業の競争力強化のうちサプライチェーンや研究開発などにかかる項目4,800億ドルについて「エンドレス・フロンティア法案」や「半導体インセンティブ法案」などを別法案に移すとされる(詳細は添付資料表参照)。米国雇用計画に反対する共和党に対して、政権が譲歩したかたちとなる。また、ジョー・バイデン大統領が同計画の財源としている法人税率の21%から28%への引き上げについては、引き上げ後の税率を25~28%の範囲でも容認する姿勢を示している(「ロイター」5月6日)。この場合、新たな財源を充てる、支出規模を縮小する、あるいは財政赤字を容認するといった対応が求められることになるが、今回の修正案は支出規模の縮小で対応するかたちをとっている。
しかし、今回の修正案で、バイデン政権と共和党が合意に至るかどうかは不透明だ。共和党は米国雇用計画の対案として5,680億ドルの計画を発表しているが、その財源については法人税の引き上げではなく、走行税の徴収による財源捻出を示唆している。これに対してサキ報道官は、バイデン大統領がガソリン税や使用料による年収40万ドル未満の者に対する増税には消極的であることを繰り返し述べている。
バイデン大統領は5月末をめどに共和党と合意したいとの意向を示しているとされるが、バイデン政権との協議を主導している共和党シェリー・ムーア・カピト上院議員(ウェストバージニア州)の報道官は、今回の提案は依然として「超党派の支持を得て議会を通過できる範囲の支出規模を超えている」と述べており(政治専門誌「ポリティコ」5月21日)、両者間の合意にはさらなる紆余(うよ)曲折が予想される。
(宮野慶太)
(米国)
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