バイデン米大統領、成長戦略第1弾となる2兆ドル超の「米国雇用計画」発表
(米国)
ニューヨーク発
2021年04月05日
ジョー・バイデン米国大統領は3月31日にペンシルベニア州ピッツバーグで演説を行い、総額約2兆ドルを超える「米国雇用計画」を発表した。今後8年間の支出を想定しており、バイデン政権の成長戦略に位置付けている。同計画を基に今後、連邦議会に法案を提出するが、民主党のナンシー・ペロシ下院議長は7月4日までに法案を通過させたい意向とされる(「ニューヨーク・タイムズ」紙電子版4月1日)。ただ、同計画の財源には法人税増税などを充てるとしていることから、企業増税に慎重な共和党との調整は難航が予想される。
ホワイトハウスによると、同計画の内容は、(1)2万マイル(約3万2,000キロ)の老朽化した道路や1万の橋などの補修、全国50万カ所の電気自動車(EV)充電ステーション設置支援など、交通インフラ整備に6,210億ドルを充てる、(2)電力網や水道システム、高速通信網の整備、200万以上の住宅・ビルなどの改修といった生活インフラの整備に約6,500億ドルを充て、国民の生活の質の向上を目指す、(3)半導体の国内生産支援500億ドルを含むサプライチェーン強化や環境技術、人工知能(AI)などの分野への研究開発支援など、製造業支援に約5,800億ドルを充て、企業の競争力強化に取り組む、(4)高齢者・障害者施設、退役軍人病院などの整備に約4,000億ドルを充てる(詳細は添付表参照)。
財源としては、2017年に35%から21%に引き下げた法人税率を28%に引き上げるほか、米多国籍企業の海外利益に対して21%を課税、さらに、石油やガス産業に対する減税措置の取りやめなどを原資に充てるとしている。ホワイトハウスによると、これらの措置により今後15年間で2兆ドル以上の財源を調達できるとしている。
バイデン大統領は同計画について、「第2次世界大戦以来で最大の投資であり、何百万人もの良い収入の雇用を生む」「国際競争力を高め、国家安全保障上の利益を促進させることで、今後数年間で中国との競争に打ち勝てる立場になれる」と述べ、計画の意義を訴えるとともに、「この計画達成のために共和党と誠実に話し合う」として、超党派での支持を訴えた。
今回の計画は成長戦略の第1弾としており、医療保険や育児支援などを柱とする第2弾の成長戦略を数週間のうちに発表する見通しだ。さらなる追加財源としては、富裕層への増税が指摘されているが、バイデン大統領は米メディアのインタビューの中で、年収40万ドル以下の国民に対しては増税しないと述べている(「ワシントン・ポスト」紙3月23日)。
(宮野慶太)
(米国)
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