ドイツが復興・レジリエンス計画発表、気候保護とデジタル化重視が鮮明

(ドイツ、EU)

デュッセルドルフ発

2021年05月10日

ドイツ政府は4月27日、「ドイツ復興・レジリエンス計画(DARP)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を採択した。この計画は復興基金「次世代のEU」での6,725億ユーロの規模の補助金と融資による支援制度「復興レジリエンス・ファシリティー(RRF)」(2020年7月21日記事参照2021年2月15日記事参照)による支援を受けるため、ドイツへの割当額の執行方針や用途を示したもの。RRFは、欧州経済を新型コロナウイルスの影響による不況から脱却させると同時に、将来的な投資や改革措置導入を促進させることを目指している。EU加盟国はそれぞれ復興・レジリエンス計画を欧州委員会に提出し、野心的な投資と改革の実施を約束し、各投資・改革プロジェクトに対し具体的かつ検証可能な目標を設定する必要がある。

DARPの総額は279億ユーロで、90%を気候変動対策とデジタル変革に拠出する予定。気候変動対策に37%、デジタル化に20%の割り当てを条件としているEUの野心的な目標を大きく上回っており、将来的な技術への投資の拡大や国民の健康保護のための長期的な方針を示すものとなっている。ドイツ経済研究所(DIW)は、同計画で実際される措置は長期的にGDPを2%、雇用を0.5%増加させると予想している。

DARPの1つ目の重点は「気候政策とエネルギー転換」で、約115億ユーロと全体の約40%を効率性の高い水素経済の発展や環境に優しいモビリティーや、エネルギー効率化のための建設物の改装・改築などに拠出する予定(添付資料表1、2参照)。2つ目の重点は「デジタル変革」で、経済、インフラや教育などのデジタル化に140億ユーロ以上を割り当てる。EUが求める20%を大幅に上回る総額の50%超の拠出に当たる。「デジタル変革」には、社会的包摂の向上やパンデミックに対するより強固な医療システムの構築、公共サービスの近代化なども含まれている。

オラフ・ショルツ財務相は「本日、ドイツとフランスが『コロナ復興計画』を発表した。欧州にとって良い日だ。EU復興資金により連帯感に基づく持続可能な強い欧州に向けて団結して行動できる。ドイツの復興計画は気候変動対策やデジタル化、成長、雇用維持に明確な方向性を示すものになっている」と述べた。

DARPは今後、欧州委員会の審査やEU理事会(閣僚理事会)による承認というステップを経ることなる。

(ベアナデット・マイヤー)

(ドイツ、EU)

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