炭化水素法改正法案が下院を通過、一部の規定に修正
(メキシコ)
メキシコ発
2021年04月16日
メキシコ連邦下院は4月14日、炭化水素法改正案を賛成292、反対153、棄権11の賛成多数で可決した。委員会審議の過程で、行政府が提出した法案の内容(2021年3月30日記事参照)に、以下の修正が加えられた。法案は、上院の審議と採決を経て成立する。
- 国防、エネルギー安全保障、国家経済にとって差し迫った危険が存在する場合の許認可の一時的停止に際し、当局が認可事業者に対して、一時的停止の原因や理由、事業継続による悪影響などについて事前に通知し、事業者が通知受領後15日以内に反論や弁明をする機会を与える。当局は、反論などの受領後15日以内に、許認可を一時停止するかどうかを決定し、事業者に通知する。当局が定めた一時的停止期間が経過した後でも、事業者が義務の履行を継続する状態にない場合、当局は許認可を最終的に取り消す(改正案第59 BIS条)。
- 法改正の施行後、エネルギー規制委員会(CRE)と国税庁(SAT)は、炭化水素資源、燃料、石油化学製品の計量に関する規定が守られているかどうかを確認するための調査を行う。
1.については、憲法第14条が保障する聴聞権(不利益を被る処分を受ける者に意見を述べる機会が与えられる権利)を保護する目的だ。事業者は、許認可の一時的停止に際し、事前に通知を受けることで反論をする機会が与えられる。2.は、ガソリンスタンドなどにおいて、実際の販売量を計量器に表示される量よりも少なくする違法行為を調査する目的で、調査の結果、違法行為を繰り返す事業者が発覚した場合、許認可を取り消すことになる。
依然として定義が曖昧との指摘も
下院による修正は、事業者に対して聴聞権を与える点で改善がみられるが、依然として「国防、エネルギー安全保障、国家経済にとって差し迫った危険」の定義がないことを問題視する声が多い。どのような場合に、差し迫った危険と判断されるのかが不明瞭なため、エネルギー省やCREの恣意(しい)的な判断が可能になり、石油公社(PEMEX)のガソリン販売市場における優位性を確保するために、民間事業者の参入を不当に規制する方向で運用されるリスクが高いという指摘だ(主要各紙4月15日)。
(中畑貴雄)
(メキシコ)
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