バイデン米政権、2022年度予算案のうち裁量的経費1兆5,224億ドルを議会に提出

(米国)

ニューヨーク発

2021年04月13日

米国行政管理予算局(OMB)は4月9日、2022年度(2021年10月~2022年9月)の予算案について、裁量的経費のみを先行して議会に提出PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。例年、裁量的経費は歳出の約3割程度を占めている。今回の要求金額は、前年度比8.4%増の1兆5,224億ドルに達した。バイデン政権の予算策定作業は遅れているが、裁量的経費の支出には各年度で議会による歳出予算法の制定が必要なため、OMBは義務的経費に先行して議会に示した。

裁量的経費のうち、国防費は7,530億ドルで前年度比1.7%増となっている。インド太平洋地域および北大西洋条約機構(NATO)の同盟国やパートナーと協力して中国などからの脅威に対抗するなどとしているが、要求金額はインフレ調整後では前年度からほぼ横ばいになっている。

非国防費は7,694億ドルで前年度比15.9%の大幅増となっている。気候変動への取り組みを強化するため、ほぼ全ての省庁の予算に気候変動対策費を計上しており、環境保護庁(EPA)向け予算は21.3%増の112億ドルとした。また、「新型コロナ危機」を受けて、米国疾病予防管理センター(CDC)の予算は前年度からの増額幅が過去20年間で最大となる87億ドルを計上している。そのほか、貧困層が通う学校支援に365億ドル、住宅バウチャー(家賃補助)に304億ドルを計上するなど、社会福祉政策にも重点的に予算配分している。商務省向け予算としては、国内のサプライチェーン強化や研究開発・技術革新の促進などのため、27.7%増の114億ドルと大幅に増額計上している(添付資料表参照)。

ジョー・バイデン大統領が3月31日に発表した「米国雇用計画」(2021年4月5日記事参照)は今回の予算案には反映されておらず、バイデン政権は、社会保障費などの義務的経費を含めた予算教書の全体は今後公表するとしている。バイデン大統領はホワイトハウスで4月9日、今回の予算案について「超党派の支持を得られることを願っている」と語った。しかし、予算編成を指揮するOMB局長の人事は未確定で、議会との今後の予算案調整などは難航することも予想される。

(宮野慶太)

(米国)

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