商務部、CPTPPの条項を深く分析中と言明

(中国)

中国北アジア課

2021年03月04日

中国商務部の副部長兼国際貿易交渉副代表の王受文氏は2月24日、中国政府による環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)加入への具体的な取り組みや、タイムスケジュールの有無について記者から問われ、「中国はCPTPPへの加入を積極的に(前向きに)検討している。協定がカバーする内容は非常に広いため、現状は2分野で取り組みを進めている」と述べた。

具体的には、第1に、記者の質問にあった分野(注1)を含めたCPTPPの全ての条項を評価、研究し、深く分析していること、第2に、CPTPPの一部メンバー国と非公式にコンタクトを取っており(その他メンバー国へのコンタクトも予定)、協定のより正確な理解・把握のために、専門的分野で意思疎通と交流を行っていることを紹介した。王氏はタイムスケジュールについては触れなかった。

商務部の王文濤部長は1月26日に、シンガポールのチャン・チュンシン貿易産業相とテレビ会議を行い、CPTPP加入についてシンガポールを含む関係国と引き続き意思疎通を図りたいと伝え、シンガポールも中国の加入検討を歓迎し、中国と意思疎通を続けたいと述べたとされる。

2020年11月20日のAPEC首脳会議で習近平国家主席がCPTPPへの加入を積極的に検討すると発言した後、12月16~18日に開催された2021年の中央経済工作会議(注2)でもその方針があらためて示され、中国のCPTPPへの取り組みに注目が集まっている(2021年1月4日記事参照)。

この問題について、中国国際貿易促進委員会(CCPIT)研究院の趙萍副院長は、協定の一部の条文は短期的に中国にとって少なからぬ挑戦を迫るため、中国は積極的かつ慎重な態度を取るべきとしつつ、「決していきなり最高の開放レベルの承諾をするのではなく、中国は十分に協定が及ぼす国内産業の影響を評価した上で、自国の受け入れ能力に基づき、力相応に物事を進めるべき」と指摘した(「21世紀経済報道」2月24日)。

今後、CPTPP加入について中国がさらにどのような見解を示し、どう取り組んでいくのかが注目される。

(注1)記者からは「CPTPP加入に際して、中国にとってどのような分野が困難なのか、例えば、労働や環境、知的財産などか」との質問もあった。

(注2)翌年の経済政策の方針を決める中国共産党と国務院の重要会議。

(宗金建志)

(中国)

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