2021年の重要政策、「科学技術力の強化」「サプライチェーンの自主コントロール能力の強化」

(中国)

北京発

2021年01月04日

中国の2020年の中央経済工作会議が12月16~18日に北京で開催された。会議では、2020年の経済政策の総括と現在の経済情勢の分析を基に、2021年の経済政策の方針を打ち出した(2020年12月28日記事参照)。

2021年の重要任務(政策)の筆頭に「国家の戦略的科学技術力を強化する」、2番目には「産業チェーン・サプライチェーンの自主コントロール能力を強化する」を位置付けた(添付資料表参照)。10月の中国共産党第19期中央委員会第5回総会(五中全会)の建議でも示された「科学技術の自立強化」も再び強調した(2020年11月6日記事参照)。なお、産業チェーン・サプライチェーンの安全と安定は新しい発展局面を構築する基礎との認識も示した。

科学技術力の強化の面では、基礎研究に関する10カ年行動計画を速やかに制定・実施し、条件を満たす地方が国際・地域の科学技術イノベーションセンターを建設するとし、産業チェーン・サプライチェーンの自主コントロール能力の強化の面では、基幹核心技術の開発強化などを通して、産業の脆弱(ぜいじゃく)な部分やボトルネックを速やかに解消するとした。

なお、「自主イノベーションと安全保障」の関係性についてのロジックが五中全会建議で示された次期5カ年計画案と比較してより明確になった。具体的には「自主イノベーションを強力に推進することにより、国家の発展をより安全でより信頼できる基礎の上に建設することができる」との関係性を示した。

また、五中全会建議では「自主イノベーション」という言葉は各論の国防分野の科学技術についてのみ使用していたが、今回の会議では全体的な方針において使用した。

その背景には、各産業で多くの基礎分野の海外への依存度が比較的高いとの問題意識がある。商務部国際貿易経済合作研究院の庞超然副研究員は、企業は「缺芯」(ICチップ不足)、「少核」(核心技術の不足)、「弱基」(基礎が弱い)の課題に直面しており、産業基礎の再構築プロジェクトなどを通して自主コントロール能力を高めるべきと指摘する(「北京商報」12月18日)。

対外開放については、「CPTPP〔環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(いわゆるTPP11)〕への加入を積極的(前向き)に検討する必要がある」との方針を示した。「加入を積極的(前向き)に検討」との表現は、11月20日開催のAPEC会議で習国家主席が演説で述べたものと同様だった。

(藤原智生)

(中国)

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