EU理事会、英国との通商・協力協定への同意を欧州議会に要請
(EU、英国)
ブリュッセル発
2021年03月01日
EU理事会(閣僚理事会)は2月26日、欧州議会に対して英国との通商・協力協定(以下、TCA、2020年12月25日記事参照)への「同意(Consent)」を与えるよう要請した。TCAはEUにおける批准プロセスが完了しておらず、2021年1月1日から暫定適用されている状態だ。TCAの合意時点では、EUと英国は暫定適用の期間を2月28日までとすることで双方了解していた。しかし2月23日、TCAの下に設置された両者の「パートナーシップ協議会(Partnership Council)」の決定として、暫定適用を4月30日まで延長することとなっている。英国のマイケル・ゴーブ内閣府担当相とともに、同協議会の暫定共同議長を務める欧州委員会のマレシュ・シェフチョビチ副委員長(EU機構関係・将来予測担当)は2月23日の声明で、延長の理由について、TCA協定全文をEUの24公式言語に翻訳するための十分な時間を確保するためと説明している。
今回の理事会による欧州議会への同意要請は、EUにおける通商協定の公式な承認プロセスの一部だ。欧州議会は要請に基づき今後、本会議において協定の採決を行い、過半数の賛成を得られれば同意が成立する。議会は、TCAの内容を修正することはできない。議会の同意と、公式言語への翻訳が完了した上で、EU理事会が改めて最終的に協定の承認を決定することによって、ようやくEU側の批准プロセスが終了し、TCAが正式に発効する。シェフチョビチ副委員長は同声明で現状について、「TCAのスムーズな批准が可能となるように、理事会および欧州議会と緊密に協議を進めているところ」と述べている。
(安田啓)
(EU、英国)
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