全人代、次期5カ年規画と2035年までの長期目標綱要案を発表

(中国)

北京発

2021年03月10日

第13期全国人民代表大会(全人代)第4回会議が3月5日、北京市で開幕した。会議では、第14次5カ年(2021~2025年)規画と2035年までの長期目標綱要案が発表された。同案は11日までの全人代において審議され、最終的に決定される(2021年3月9日記事参照)。

3月5日に、李克強首相が読み上げた政府活動報告においては、同案の内容のうち、主に、第14次5カ年(2021~2025年)規画期間におけるマクロ経済の主要指標、イノベーション駆動型発展戦略、グリーン発展や民生福祉にかかわる主要な数値目標や重点政策について言及した(添付資料表参照)。

経済成長については、「経済の動きを合理的な範囲内に保ち、年度ごとに実際状況に応じて経済成長の所期目標をうち出す」との方針が示されたほか、労働生産性の伸び率が GDP 成長率を上回るようにすること、都市部調査失業率を5.5%以内に抑えることなどが示された。

イノベーション駆動型発展戦略については、「科学技術の自立自強を国の発展の戦略的支えとする」と位置付けた。個別の目標としては、社会全体の研究開発(R&D)費を年平均7%以上増やし、そのGDP比が第13次5カ年規画期の実際値を上回るようにすることや、産業チェーンの現代化を推進すること、戦略的新興産業を発展・成長させることが示された。また、基礎研究を強化する方針の一環として、基幹核心技術堅塁攻略戦に取り組み、基礎研究10カ年行動計画を策定・実施することも盛り込んだ。

強大な国内市場を形成するという面については、国内大循環に立脚して、強大な国内市場の整備と貿易強国の建設を調和させながら推進するとの方針を示した。また、国内の経済循環体系をよりどころにして世界の要素・資源をひきつける強力な重力場を形成し、国内・国際双循環を促進するとした。

グリーン発展については、気候変動対策の中国のINDC(国が決定する貢献)「2030年の温室効果ガス排出削減目標達成」に取り組むとの方針で、単位GDP当たりのエネルギー消費量と二酸化炭素排出量をそれぞれ13.5%、18%引き下げるとした。

民生福祉の面では、低所得層の所得の向上に力を入れ、中間所得層を拡大する。個別の目標としては、住民1人当たりの可処分所得の伸び率がGDP成長率とほぼ一致するようにすることが示された。

安全保障の面では、総体的国家安全保障観を堅持し、国家安全保障体系・能力の整備を強化するとの方針で、食糧の総合生産能力を6億5,000万トン以上に維持すること、エネルギーの総合生産能力を向上させることなどが示された。

(藤原智生)

(中国)

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