第14次5カ年規画では、GDP成長率の数値目標を設定せず
(中国)
北京発
2021年03月09日
中国の第13回全国人民代表大会(全人代)第4回会議が3月5日、北京市で開幕した。会議では、第14次5カ年(2021~2025年)規画と2035年までの長期目標綱要案が発表された。同案は11日までの全人代で審議され、最終的に決定される。
綱要案の本文は全142ページで、テーマごとに19編に分かれており、各テーマの具体的な内容を記載した65章からなる。第1編では、国家発展の環境や指導方針、主要目標が総論として記載され、第2編から第18編までは、イノベーション、グリーン、対外開放、民生福祉、国家安全保障などの重大戦略任務(重点政策)が各論として記載されている。最後の第19編は「規画の実施の保障の強化」について記載され、全体を締めくくっている。
2035年までの主要目標としては、経済の実力、科学技術の実力、総合国力を大幅に飛躍させ、経済総量と都市・農村住民の1人当たり所得をさらなる大台に到達させるとの方針が示された。このほか、1人当たりGDPを中レベルの先進国並みに引き上げるとの目標も設定した。
第14次5カ年(2021~2025年)規画の目標について、経済面ではGDP成長率の数値目標を設定しなかった。第12次5カ年規画では年平均7%、第13次5カ年規画では年平均6.5%以上と設定していたが、「合理区間内に維持、毎年現状に基づき設定」とするにとどめた。
中国社会科学院の高培勇副院長はGDP成長率の数値目標を設定しなかった理由について、「将来の発展環境が複雑で変化が激しいことを考慮し、不確実性に対しての対応の余地を残したため」と解説した(「新華社」3月6日)。
その他の目標を見ると、20の目標のうち、8つは、達成が義務付けられる「拘束性目標」となった。うち5つが単位GDP当たりの二酸化炭素排出量低下率など「グリーン生態」に関するもの、2つが食糧総合生産能力など「安全保障」に関する目標だった。
この他の指標のうち、7つは、1,000人当たりの3歳以下乳幼児預かり枠数や、1,000人当たり開業(アシスタント)医師数など、民生福祉に関して新たに目標が設定された。民生福祉の新規目標について、商務部国際貿易経済合作研究院の顧学明院長は「人民を中心にという思想がはっきりと示されており、人々の満足感、幸福感、安心感を引き上げることに力を入れている」と解説した。
(藤原智生)
(中国)
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